わが国の再生について。

 平成から令和にかけての35年間は、わが国にとって多くの挑戦があった時代だった。この間には政治的、経済的、社会的、国際的な難題に直面し、大胆な改革がひつようであっても、そのほとんどに対処できなかったといっても過言ではなく、現状がそれを物語っている。
 1990年のバブル経済の崩壊から始まった長期の不況、東日本大震災や福島第一原発事故、少子高齢化や人口減少の進行、中国や他の新興国の台頭、政治の混乱や不信感、性暴力や差別などの社会問題などが、日本の弱点や課題を浮き彫りにした。
 これらの問題に対応するには、まず現状を冷静に分析し、反省し、改善策を講じることが必要だった。しかし、政府や官僚や財界などの関係者は、しばしばこれらの問題を隠したり、ごまかしたり、見ないふりをしたり、厳しい見方をすれば居眠りをしていた。
 わが国の経済はバブル崩壊後に長期に低迷し続けている。世界の経済大国としての地位を失い、国内の格差や貧困が拡大している。この状況を改善するためには、政治の信頼回復と経済の再生が必要である。
 高い産業力を有するとされるわが国は、高度な技術や品質、安全性や信頼性などを持つ製品やサービスを提供できると言われるが、近年それも揺らいでいる。品質や性能が低下し、イノベーション力も低下している。
 昔は高品質で廉価な点が有利に働き、製造業が戦後の高度成長を牽引した。ところが、今や製造業が国内総生産(GDP)に対する割合はおよそ20%で、雇用に占める製造業の割合に至っては20%を切り、17%に過ぎない。それで人手不足が言われるが、ロボット化や省力化で対応する。
 スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表する世界競争力ランキングでは、日本は1989年に1位だったが、2019年には30位まで落ち込んだ。とくにビジネスの効率性においては、ビッグデータやAIの活用、国際的な人材育成、起業家精神などが低く評価された。これらは現代の世界の経済社会において重要な要素である。
 一方、わが国は自然に恵まれ、固有の伝統や歴史を持つ国で、これらは世界から注目される魅力的な資源である。これらは経済に付加価値を与えるというが、観光業やサービス業や国際的なイベントにあまり依存すると、リスクが高い。
 また少子高齢化や人口減少などの社会的課題に直面している。これらは経済の成長や発展に影響を与える要因であり、この課題に対応するには国民の衣食住が豊かで、社会的にも幸せになり、消費を増やす必要がある。
 グローバル化やデジタル化などの時代の変化に対応するためには、国際協力や規制緩和、技術革新などを推進する必要がある。これらは以前から言われてきた課題であり、今更の話である。
 ここまで来たら実行するしかない。

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