過去最低の出生数。
2022年12月20日厚生労働省は、人口動態統計を速報した。今年1~10月の出生数は66万9871人と前年同期より3万3827人減少し、過去最低の水準を示した。21年の出生数は81万1622人で、このままのペースで推移すれば、今年の出生数は統計を取り始めた1899(明治32)年以降、初めて80万人を割り、昨年から4万人近く少なくなり、77万人台になりそうだ。
速報値には、日本在住の外国人や在外日本人の数が含まれる。今後発表される確定値は、日本に住む日本人の数で集計するため、速報値より少なくなる。国立社会保障・人口問題研究所は17年に確定値で80万人を割るのは30年と推計していたが、想定より8年ほども早いペースで少子化が進んだ。
これには新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、婚姻数の減少や出産を控える要因が考えられる。それならその分はコロナ禍が落ち着く3、4年後には解消し、出生数は回復する。しかし、実際には19年時点で、20~30代の女性の出生率のさらなる低下が始まったようで、これには経済的な困窮が背景にあってのことだろう。
第一生命経済研究所の星野・主任エコノミストによると、00年以降の国民生活基礎調査で世帯主が20~30代の世帯を分析すると、年収300万円未満の低所得世帯と、300万~600万円未満の中所得世帯は子を持つ割合が低下していた。
同氏は「低・中所得層で子育てへの金銭的な不安が生じている可能性があると指摘する。「子どもはぜいたく」との認識が広がれば、少子化はより深刻になりかねない」と警告するが、すでに30年前から常識として定着している。
これほどの出生数が低下すると、簡単に回復するものではない。わが国のような少子高齢社会の特徴は、「少産多死」の人口現象と言え、出生数が低下すれば、もろに人口が減少する。昨年の人口動態統計(確定数)は、1.出生数は過去最少811622人(前年から29213人減少)で、2.死亡数は増加し戦後最多1439856人(前年より67101人増加)を示し、3.自然増減数は15年連続の減少で、628234人(前年から96314人減少)の人口が少なくなった。
人口数は社会と経済の善し悪しの2つの要因で変化する。現状は束縛や管理は微細で厳しく、息苦しく、とても子育てと教育には良い社会環境ではない。労働者は働いても。貧しいままのワーキングプア状態で、将来大幅に賃金が上昇する見込みは皆無である。
わが国の将来に明るい見通しはなく、むしろ国外への退去を願っている人も多く、これでは人口数が回復する見込みは全くない。ここまで追い込まれても、防衛費倍増論とか原子力発電所の新設とかインフレ政策など国民に増税の鉄槌を下そうとしている。
世の中は狂気の沙汰である。