岸田政権の現状と今後。

 2024年4月11日の時事通信の世論調査によれば、岸田政権の支持率は前月に比べると、1.4ポイント減少し、政権発足以来最低の16.6%を記録した。以前から低支持率が続いており、もう自ら退任をしているところである。
 諸物価の高騰や賃上げや円安などに対するインフレ対策や経済問題が喫緊の課題となっている。これらに対して有効な手を打つこともなく、国民の信任のない死に体の政権を続ける意義は見いだせない。信じられないが、こんな低い支持率でも普通はあり得ない6月解散風が吹き始めている。
 国民から見れば、これまでに自由民主党の先輩議員、同僚議員、政権や省庁の幹部は退任をすすめるのが筋合いと思われるが、こういった動きは少ない。一方、党内では岸田降ろが根強く、主導権争いが絶えない。
 ところが、岸田氏は低支持率を横目にしながら、国民が唖然とする中、国民の支持よりも米国の支持の方が大切だと言わんばかりに、8日から米国に出かけた。米国では防衛費増額の引き換えの国賓待遇でバイデン大統領とフィリピンのマルコス大統領と首脳会談を終えて、14日に帰国した。
 今回の訪米には明確な理由がなく、互いに日米同盟の強化を謳い、自衛隊は米軍との一体化、米国から高額兵器を買い続けるという確認をしたに過ぎなかった。またマルコス大統領とは、中国に対する3国の軍事的な協力について会談した。
 本題に戻ると、自由民主党は派閥のパーティー券による裏金事件を受けて、安倍、二階両派の幹部を処分した。予想通り支持率の回復には至らず、政党支持率も前月に比べると、2.4ポイント減少し、15.3%と低迷し、政権交代にもつながりかねない。
 多くの人々が今回の対応を軽すぎると考えている。本来、岸田氏も総裁として責任をとる立場だが、事件に関わった議員の処分について、国民の視点からではなく、恣意による判断を下した。
 訪米も裏金問題も大事だが、岸田政権の最大の問題点は、財務省が強力に推進するインフレ・増税路線の上をまっしぐらに走っている点にある。この路線はごく一部の大企業の利益が増える一方でも、大多数の中小企業と零細企業を苦しめ、国民の財布を空っぽにし、税収を増やす。
 本来、政治家は国民の安心、安全を保ち、豊かにする責務がある。岸田氏はそんな気は少しもないようで、国民の期待とは真逆の方向に進んでいる。それでも遅いが、今回の訪米は退任の花道を飾る絶好な機会だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?