盲目の剣士が犬を拾う話①
(この文章に含まれる挿絵画像は全て無料のAI生成によるものです。ご了承下さい)
疲れた。
水に濡れたアスファルトは今日も誰かの悲鳴をかき消して、吸い込んでいく。
足取りが重くなる理由はきっと、
靴に水が染みているからではないはずだ。
誰かが悪いわけではない。
いや、悪人はいるのだろう。
汚れた者も、汚されてしまった物も散々見てきた。
だが善悪を考えることにも疲れてしまったのだ。
今はただ静かにーー
「わんわん。」
静かにーー
「わんわんお。」
しzーー
「おんわんわ。」
『静かにしてくれっ!!』
「こんばんわ。」
流暢な発音に振り向くとそこにはベコベコのダンボール箱に入った一頭の犬がいた。
「……!!」
言葉を失った。
まっすぐこちらを見つめるその目には深い深い深淵が横たわっている。
この犬、なんか変…
(続く)
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