九課ホラー小ネタ 書き溜め用

Twitterで前やってたやつをnoteでやろうかなーのやつ。
先頭何個かは過去作。
1段落ごとに1作、話は繋がってないよ。
思いついたら足していこうかな〜

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雨の日にえり袖のつまった服を着てくる陸にそのことを尋ねると「湿気に混じっていやなものが浮かんでいる時があって、服の中に入ろうとしてくる」と答えられて自分の腕まくりを直す源間

資料庫内の掃除は週の当番制で職位に関わらず割り当てられている。ただの掃除だと思うには少々特殊なのだが、九課に居る以上はその洗礼を受ける他ない。資料庫には顔に黒い大きな穴の空いた女と天井を這う髪の毛の束が《棲んで》いるが、3秒以上見つめなければ何もしてこない。

警察には盆も彼岸もない。地面に照り返す殺人的な日光で眩暈がする。遮蔽物のない通りで信号を待ちコンビニを目指す。ふと横に影が立つ気配がするものの、眩しさですがめた視線は向けない。そうだ、遮蔽物はない。左腕が総毛立ち不似合いな涼を感じる。信号はまだ変わらない。

助手席にいる神々廻がずっと窓の外を見ている。田舎に不慣れらしいし、物珍しいのだろう。 「あまり眺めていると痛い目を見るぞ」 私は優しいので教えてやる。田舎の怪は図々しいのだ。都会よりもずっと。 「今見えた⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎と目が合うと追いかけてくるぞ」「どの目だよ」

警視庁の庁舎は大きな通りにある。九課のフロアでも景色はいい。撫子が珈琲を啜りながら廊下の奥の窓へ視線を投げれば、通りの先へ橙の夕日が落ちていくところだった。そしていつも通り、人影も落ちていく。あれは年中16:03に落ちている。便利だなと見送り、撫子は踵を返した。

ホヅミがファブリーズを倉庫中に吹きかけている。生臭いのが不快だと言うのだが、まず驚くところがあるはずなのに、なぜ指摘しないのだろう。目の前の⬛︎⬛︎を。 「ああ、僕のメガネでは『遮断』しているんです」 匂いや音や肌触りは消せないですけど。居るのは分かってますよ。

他のメンバーは車通勤が多いが、冬馬は電車通勤している。人が多ければ怪異の遭遇率も比例して多く、気が休まらないものだが、冬馬にはあまり関係がない。貴重な給餌時間だからだ。「…虎豆、そこであまり喰いすぎるなよ。ホームの方がもっと居る」地下通路の縦横いっぱいに体躯を伸ばす愛獣にひっそりと呟き、改札を通る。駅には人以上の気配がごった返している。



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