師匠の教え その1

僕の師匠とは

大学四年生の9月に、当時のアルバイトの師匠に弟子入りしました。
社会人13年目も折り返しとなっている今、振り返るとあの時期がなかったら今の自分はなかっただろうな、というかなり濃密なインプットとアウトプットを繰り返した時期でした。

仕事とはどうあるべきか、という事を一つの角度から教えてくれたのが師匠でした。社会人になる前に僕は師匠に会えて本当に良かったと、今思っています。

師匠が教えてくれたことは、今の僕を支えている一つの哲学のようなものですが、そもそもそんな師匠と僕はどうやって会うことができたのか、という点から振り返ってみたいと思います。

塾講師、家庭教師のアルバイトの掛け持ちを続け、扶養から外れるギリギリまで稼ぐようなバブル時代(何と言っても稼いだお金は当時すべて自分のもの)を過ごした大学2年が終わったあと、サークルに力を注ぐべく塾講師のアルバイトをやめました。

これに伴い最も出費が重なる大学三年生を、貯金を切り崩すように生活してどうにか乗り越えた(どうにもなってない時期があったけど)あと、就活も終わって大学四年生、とりあえずアルバイトをしてお金を稼ぐことだけを考えていた僕には、二つの勤務先がありました。何某高級中華料理店と、ある定食屋でした。(何某高級中華料理店で出会った人の話は、その気になったら書きます)

師匠との出会い

今食べログで検索したところ、当時働いていたその定食屋はもう閉店していました。仕事を離れたのが2008年3月。これを思い出してい書いているのが2021年。13年も経てば色々あるわな。仕方ないかもしれない。

ということで、今はもうないのですが、その定食屋に師匠はいました。
師匠との出会いを鮮明に覚えているのは僕が遅刻すれすれで出勤した時でした。それより前から一緒に働いていたことがあったのかもしれないのですが、師匠のことをちゃんと認識したのはそれが最初でした。

僕は当時、だいぶ時間にルーズでした。

10時勤務と言われていても、9:58くらいに来て、やっつけで着替えてテキトーに働くような感じの人間でした。
その日(何日かはもう忘れてしまいましたが)も同じように出勤しました。
なんなら1分くらい遅れてたかもしれない。

もしかしたら師匠は、そういう僕の姿を何度も見ていて、それでもその間は我慢して待っていたのかもしれない。

けど、その日は師匠は許さなかった。僕に対して、「おい、ちょっと待てよ、お前今何時だと思ってんだ」と言いました。

「あ、おくれてすいません」といった僕の一言が、きっと言い方が悪かったんだと思う。師匠はそれを許さなかった。

師匠が僕に叱ったこと

10時に働き始める自分のことを待っている人がいること
10時の勤務開始時刻は、その時刻からお客様の前に出ることができる状態であること
今のお前は10時に来ているようなもので、その時刻にお客様の前に出ることができるとは思えないこと
一緒に働いている仲間のことをどういう風に思っているのか
自分さえよければいいのか。10時からバイト、というのは10時にバイト先に来ることなのか
社会人になろうとしている人間が、そんな心構えで良いのか
俺は、俺と一緒に働く仲間が、そんな気持ちで働いてほしくない

そんなことを師匠は言いました。今のままのお前で良いなら、そのままにすればいい。変わりたいのなら、社会人になる前に、俺と一緒に働こう。一緒に仕事しよう。

師匠は、自分が大学四年で、社会人になる直前の身で、だらだらへらへらしている状態に対して危機感を持ってくれていたのでした。
見ず知らずの他人と言っても言い過ぎではないような自分のことを、どうしてそこまで考えてくれているのかは当時わかりませんでしたが、師匠は僕の様子を見て、本気でまずいと思ってくれていました。

師匠に一気にまくしたてられて(当時そう感じた)半べそのようになっていた僕は、慌てて着替えて、そのあと「みなさんすみませんでしたっ」と大きな声で謝り、バイトに入りました。

師匠は今どこで何をされているのかは正直分かっていないのですが、
あの時本気で僕を怒ってくれた師匠のことを今でも忘れていません。
仕事をするなら、まずは決まった時刻に人の前に出ることができる状態になるよう、出勤すること、それは師匠が教えてくれた何よりも大切な教えでした。

師匠は大学4年のアルバイトが終わった3月末の時に送ってくれたメールでこういっていました。

「いつかまた、一緒に仕事しよう。俺はその日を楽しみにしている」

師匠、僕は師匠の姿に近づけていますでしょうか。
僕は師匠の教えをもとに、今の自分なりの仕事の仕方を見つけたつもりでもいます。師匠の教えがなかったらここまでやれなかったとも思います。

師匠からの教えは、当たり前でもある出勤以外にも山ほどありました。
この場を使って僕は僕なりにそれをこの場で復習したいと思います。

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