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短い記録 63個め

今日思っていることしか書かない。
なので、先日の薄い本から派生したことの話をする。

とあるアニメ作品の話だ。
まだ絶賛大ヒット上映中。
長らく取り憑かれたようにその作品を愛していて、レプリカの制服も持っている。
それをコスプレ以外で堂々と着たいがために、脚本・演出・主演を自分でやり、5分の短編映画を撮った。
ここに載っている"青色三号監督"というのが、私。(うわ、もう10年前の話か、これ)

で、肝心のアニメ作品の話に戻る。
作品名を明記しないのは、わざとだ。
今日の更新に限っていうが、作品名による検索きっかけでこの記事にスキをつけられても全く嬉しくないからだ。
この作品だけは、誰とも分かち合いたくない。
本当は、話したら減るとすら思っている。

このアニメ作品は、来場特典で薄い本を出した。
比喩ではない、公式の薄い本。
ハッシュタグもそのような表記だ。
おそらく今の時期ならこの説明でわかるだろう。

本当は、2回めを観に行かないつもりだった。
特典の話を聞いた当初も、あまり気が進まなかった。
でも、詳細を確認して散々迷ってから行くことに決めた。

このアニメ作品を見ると、いつも頭の中に他の映像が次々に浮かび、訳がわからなくなる。
自分の考え事を同時上映しているというか。
同時上映の意味が相当違うけれど。

今日は作品を完成させるということや、自分自身と作っているものの境目、あるいは自分自身がコンテンツになるということについて、ぐるぐる考えていた。

とあるシーンに差し掛かったときに、ぱっと一つ浮かんだことがある。

「無意識の盗作が嫌だ」

そして、同じタイミングで
「この先、書くことを自分の仕事にする」
という意思が、今までで一番強く自分の中で主張してきた。

まず、先程あげた「無意識の盗作」というのは、2種類の意味がある。
・無意識に何のひねりもなく、すなわちパロディでもオマージュでもパスティーシュでもなく、パクる
・読み取った(つもりの)他人の無意識を、自分が感じたかのように仕立て上げた嘘を混ぜ込む

1つめは、だれでもわかると思う。
単なる罪だ。
そして、そんなことしかできないなら、もう一生書かない。

今回浮かんだのは、2つめのほうだ。
もっと短く言うと「代弁していい気にならない」が近い。

もし、不用意にお湯に触ってしまったりしたら、反射で手が引っ込むことだろう。
反射とは、意志と関係ない行動だ。
やろうとおもってやったことではない。
もちろん、他の人でも同じことが起こる。

そういう「反射」ではなくて、他人の無意識(誰かが言ったこと、感じたこと)がたまたま読み取れたり、気づいたりした場合。
これまで幾度となく自分の作品内で、自分が感じたかのように仕立て上げた嘘を混ぜ込んで、無意識の盗作をしてきたなということに、その2秒ほどのシーンを観ていて認識したのだ。

自分が新しいものを生み出せるとは思っていない。
物語の種なんて、聖書、あるいはシェイクスピアあたりで出尽くしている。
でも、自分の意思で選んだ言葉はまだ出尽くしていない。
物語の瞬きに関わる言葉の選別に手を抜くのが「無意識の盗作」だ。

話がやや逸れるが、今までの仕事の話だ。
生活のためにと思って割り切って「できるんだけど、ちょっと嫌」と思うことをやってきた。
「ちょっと嫌」があると、どうやって改善するか、少しでも楽にできるかを自動的に考えるからだ。
文章では、それがないと思っていた。
ちょっと嫌がないから、仕事にできない。
良くしようとしないと。

でも、もうあのシーンを観てしまった。
あのシーンが直接の答えだったわけではないのだけど、文章でそれをやらなくてはならないと知ってしまった。
文章にも、ちょっと嫌を改善する余地がある=仕事として向き合う必要があると。
戻れない。

このアカウントのヘッダー画像には、昔ツイートした言葉を突っ込んでいる。

3つの優先事項
最優先は物語濾過装置として自分の中身や情報の何もかもを文字に変換する、つまり作品を書き上げ続けること。
次は、作品の質を上げ続けること。
最後に世界一の濾過装置になるために様々のことを飲み込んでも、目詰まりを起こさずに生きてゆくこと。
文字変換完了の瞬間が私の寿命です。

もう一度、これをしっかり思い出さなくちゃ。
もやもやしている暇はない。
明日死んだら後悔するのは、きっと書いていないことに対してだから。

ああ、やっぱり観に行ってよかった。