シャープが大型液晶事業から撤退

リュディアです。日本経済新聞が2024年5月14日に日の丸液晶終焉へ シャープ大型撤退、JDIは10期連続赤字と報じました。

大型液晶はTV向け液晶と考えてよいです。一部、モニターや広告用もありますがTV向けがほとんどです。以前から液晶事業がシャープ全体の足を引っ張る決算になっていましたが、作れば作るほど赤字になる状態だったのでしょう。シャープの大型液晶を製造していた堺ディスプレイプロダクトの株式を買い戻したりといった最近の動きは気持ち悪いですが本件には触れないことにします。

同じ関西の家電メーカーであるパナソニックも2023年に子会社であったパナソニック液晶ディスプレイを解散しました。日立製作所の大型液晶とパナソニックの大型液晶の部門を統合してできた会社で当初、大阪府茨木市(パナソニック系)と兵庫県姫路市(日立製作所系)の双方に拠点がありましたが兵庫県姫路市に統合されました。ここもまず最初に工場を停止した理由が作れば作るほど赤字が増えるというものでした。中国との価格競争に負けたわけです。

大型液晶はTV向けのマーケットが巨大なので多数の企業が参入しましたが、日本企業は中国の液晶メーカーに押し切られた感じです。世界のTV向け液晶製造メーカーのシェアはどうなっていると思いますか?例えばこのページにある情報を引用します。

緑色が2023年の液晶パネル出荷量を表していますが、上位3社が中国企業です。Innoluxは台湾企業でホンハイの液晶子会社です。シャープもホンハイの子会社だと思えば中国企業 1億4200万台台湾ホンハイグループ 5170万台です。世界のTV売上台数がおおよそ2億5000万台程度なので60%程度は中国LCD企業のパネルを使っているわけです。さらに中国BOEや CSOTは中国の中央政府、地方政府から国策として巨額の補助金を受け取っているので低価格化が可能です。これでは勝てないですね。

OLED(有機EL)ならどうか?日本の家電量販店では4K TVは OLEDのものが多いですね。しかし世界レベルで見るとOLEDを使うTVはごくわずかで 5~10%程度です。

この手の製造業は最先端を走りつつ、ボリュームゾーンでシェアをとって世界レベルで1位か2位でないとビジネスを持続できない、ということは20年前くらいから言われていました。シャープはまさにそこにはまっていたわけです。自分たちが最先端だと思っていた液晶事業で、製造装置メーカーにノウハウを確保され、その製造装置を他社に販売されると太刀打ちできなくなったのですね。

シャープは亀山でスマホ用の小型パネル、ノートPCやタブレット向けの中型パネルを製造しています。また多気では自動車向けなど特殊な形状や解像度のパネルを製造していますがこれらも徐々に縮小して最終的には液晶ビジネスから撤退するとのことです。

近い将来に最終的に消滅するのかもしれませんね。

では、ごきげんよう。

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