ガンマ補正 #1

株式会社リュディアです。今回からガンマ補正についてまとめてみます。なかなか奥の深い内容です。プロフェッショナルな方からお叱りを受けないように頑張ってみます。

今はノートPC でも家庭のテレビでも液晶か OLED(有機EL)が主流でいわゆるブラウン管のモニターを見ることは少なくなってきました。ブラウン管は電子ビームを蛍光体に照射して発光させつつ、その電子ビームを偏向することで表示を行う装置です。陰極線管Cathode-Ray Tube : CRT)という真空を応用した装置の一つです。

この CRT は入力信号に対する発光特性が γ=2.2 のガンマ曲線の特性をもっているためリニアな信号を入力すると中間付近の輝度が暗く表現されてしまうという問題がありました。そこで映像信号に CRT の発光特性とは逆のγ = 1/2.2 = 0.45 乗じ、最終的に CRT を見る人がリニアな信号を見ることができるようにしました。

ここまでさらさらと書いてきましたが、ある程度ディスプレイについてわかってる方でないとよくわからないと思うので、もう少しかみ砕いて進めていきます。以下のグラフを見てください。横軸、縦軸とも 0 ~ 1.0 までのグラフでオレンジ色の直線が正比例の関係を表しています。

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このグラフの横軸をコンテンツ本来の明るさ、縦軸を ディスプレイにコンテンツを描写したときに人間が見ることのできる明るさと考えてください。ディスプレイ がオレンジ色の直線の特性を持つ場合はコンテンツ本来の明るさを ディスプレイ上で表現可能なので問題は起こりません。

しかし CRT 時代のテレビは青色のような特性を持っていました。つまりコンテンツが  0 ~ 1 の中間の明るさを持つとき画面上では暗めに見えるような特性であったということです。以下の図で説明してみます。

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コンテンツが明るさ 0.6 を持っている場合に理想的には画面上にも 0.6 の明るさで表示されてほしいわけですが、CRT では 0.33 付近になってしまいます。これは陰極線管の特性上仕方ないことなのです。CRT は青色の曲線の特性を持っている、でもオレンジ色の直線のような特性を見せたいというのが重要なことです。では、どうするのがよいでしょうか?

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コンテンツをグレーの曲線に従うように準備すると、実際にディスプレイ上に表示する際に陰極線管の特性、つまり青色の特性に従ってもディスプレイに表示される内容はオレンジ色の直線のようになるのでは、と考えるわけです。削られるからあらかじめ盛っておくという考え方と言ってよいのですかね...

これがガンマ補正の基本となる考え方です。縦軸をy、横軸をx とすると上の図の青いグラフは

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です。グレーのグラフは指数部分が逆数となった

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になります。とにかく重要なことはユーザが見るディスプレイや印刷物はγ = 1.0 が理想ということです。ここはしっかりと頭に入れてください。γがどうのこうの、というよりはコンテンツの明るさが 0.5 であれば 0.5 で見たいですし、コンテンツの明るさが 1.0 であれば 1.0 で見たいというだけのことです。

CRT が主流の時代にはすべてのディスプレイにγ補正回路を搭載するよりは、放送局から送信するとき、さらに言うと映像を撮影するときにカメラ側でγ = 1/2.2 の補正を行うシステムを採用していました。このことが今の時代にも面倒な影響を及ぼしています。

ガンマ補正に関するまとめの続きは以下からどうぞ。

では、ごきげんよう。



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