次世代半導体で国内新会社設立
日本経済新聞にトヨタやNTTが出資 次世代半導体で新会社、国内生産へとの報道がありました。
いわゆる半導体の前工程の製造工場でファンドリーと呼ばれるものについてです。投資額が大きいため日本の会社は2000年前後から半導体工場への投資は行わなくなりました。そして台湾や韓国の企業に製造を委託するようになりました。もともとは米国のファブレスと呼ばれる工場を持たない設計専門の会社が世界をリードするようになり、日本も後追いしたということもあります。米国のインテルだけは最後まで工場を持つ半導体専業企業として粘りましたが、今は製造に関しては先端企業とは言えない状態です。半導体の雰囲気だけ知りたい方は Kindle 版のみですが次の書籍を推薦します。
今回は日本企業8社でラピダスという名前の半導体製造専業企業を立ち上げるようです。8社とはトヨタ自動車、デンソー、ソニーグループ、NTT、NEC、ソフトバンク、キオクシア、三菱UFJ銀行とのことです。何だかなーという感じがします。しかもビヨンド2nm と書かれています。ビヨンド2nm とはTSMCも苦労している世界の最先端 2nm プロセスのさらに先、という意味です。しかも出資額が6,000億円とのことなので普通に失敗しそうです。
過去に日本企業が DRAM から撤退した後も、いわゆる日の丸半導体と言われるプロジェクトや国策企業は多数ありましたがいずれも失敗しています。有名なのはDRAM専業企業のエルピーダメモリ、半導体ではないですが大型液晶の統合企業パナソニック液晶ディスプレイと小型液晶の統合企業ジャパンディスプレイです。ジャパンディスプレイは生き残っていますが、エルピーダメモリはマイクロンに吸収され、パナソニック液晶(日立、三菱、パナソニックの大型液晶の統合企業)も液晶から撤退したので実質解体です。
国がリードするプロジェクト、複数の企業が一緒に行うプロジェクトを日本で行う場合、どこが主導権を持つか、といった無意味な派閥争いが発生し失敗していることも多いと思います。今回はうまくいきますかね?
半導体はハイリスク、ハイリターンのビジネスですが、もはや半導体無しで他のビジネスが成り立たない状態になりつつあります。立上には長い年数が必要になりますが、国内で必要な半導体の一部だけでも製造できるようプロジェクトがうまく行くことを祈っています。
では、ごきげんよう。
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