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『ザ・アンリマーカブル・ナイト』③


「明日、何食べようか。朝ご飯」

 ……また食事の話が始まった。
 しかし、予定を立てておくのは悪くない。起きたらすぐに準備に入れば無駄がないだろう。
 たきなはまぶたを閉じたまま付き合う事にした。

「……そうですね。普通に考えるなら、ご飯を炊いて、お味噌汁にお漬物と……納豆。あ、磯辺焼き用ですけど、いい海苔を仕入れていたので、それ、少しもらいましょうか。それと鮭を焼いて」
「いいねぇ! 日本の朝だ! 最高! ……でもなぁ」

 千束の言いたい事はたきなにもわかった。朝はオーソドックスなものが一番だ。可能ならサラダ辺りを追加したら栄養的にも満点である。

 ……だが、夕飯を抜いている今の若い二人の胃袋は、そんな〝普通〟では満足できないと訴えている。

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