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ファントムメナス⑪


 弐郎の並びの時と同じように、ミズキの車の後部座席にたきな達はクラリスを真ん中にして三人で座った。

 最初は助手席に座ろうと思ったが、そこには何やら少量の血や土汚れのようなものがあったので、辞めたのだ。

 まるで車にはね飛ばされた人間でも運んだかのようだ……と思った時に、ボンネットのヘコみの理由も、何となくたきなにはわかった気がした。

「千束は……どこから察していたんですか?」
「え?」

 走る車内で、たきなは気になっていた事を尋ねた。

「何と言うか、千束は今回、達観していたというか、余裕があったというか……」
「お腹にはなかったけど」
「そこはいいんです」
「もぅギッチギチ」
「だから弐郎の話はいいです。あと車内だと千束、結構臭いますね」
「うっせ」

 バックミラー越しに運転席のミズキが見てくる。

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