『ザ・アンリマーカブル・ナイト』①
※本作は錦木千束と井ノ上たきなのどうでもいい日常を切り取ったものです。過度な期待は大変危険ですのでおやめください。
「あー、なんか無駄に疲れたー」
カランカラン、と扉に取り付けられたカウベルが鳴る。
たきなと千束が喫茶リコリコの扉を開けたのは、丁度深夜〇時を回ったタイミングだった。
予想以上に任務が長引いてしまった。
とはいえさしてハードでもない任務である。
喫茶リコリコ営業終了より少し前に、DAからの緊急任務が入ってしまった。
それ自体は、仕事に不慣れなサードの尻ぬぐい程度だったのだが、思いの外長引いてしまって、時間だけ無駄に喰われてしまっていた。
特に激しく動いたわけでもないが、だらだらとした長時間の拘束は不思議と体に来るもので、疲労感は強い。
そのため、二人はどちらからともなく……というより双方半ば無意識に自宅ではなく、より現場に近かった喫茶リコリコへと足を向けたのである。