『A Day of No Guns』①
たきなは、千束に頬ずりするようにして顔、そして体をも寄せる。
肩、そしてお互いの髪がそっと触れ合うも、頬同士は触れあう事はなかった。
たきなの頬が感じたのは千束の細く長い指と、スマホの硬い感触。
「もしもーし」
千束の声から数秒を経て、二人の間に挟まるスマホから聞き覚えのある声――楠木司令だ。
『……何だ? 今忙しい、後にしろ』
「こっちも結構緊急なんですけどぉー。言っちゃぁなんですけどね、楠木さん、ちゃんと仕事してます?」
『何の話だ、要点を言え』