『A Day of No Guns』②
たきなが見た限り、そのサードリコリスの顔は完全に他のゲームセンターの客と同じで、今、目の前で起こった事が現実として受け入れられず、驚き、そして硬直している……というような感じである。
どう見てもあのスーツとマッチョを処理するために現場に侵入し、作戦を遂行中のリコリスには見えなかった。
「へい、彼女!」
ベンチに座っていたそのサードの左隣に、千束は声をかけつつ座った。
……が、サードは無反応だった。
ツンと千束が彼女の肩を突く。サードが押されるようにして体を傾け、そして自然と元の姿勢へと戻った。
たきなは千束と顔を見合わせる。起き上がり小法師、というわけではないにせよ、こういう置物なのかと思ってしまいそうだ。