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2023年1月のふりかえり|仕事で忙しくしている場合じゃないな

余裕のある日々をおくっているはずなのに、その余裕のせいでか、2ヶ月分たまってしまった。

1月◯日

日本仕事百貨のメンバーと、北軽井沢の「TAKIVIVA(タキビバ)」というオフサイト・ミーティング施設へ。昨年9月の清泉寮につづく2回目の合宿(2泊3日)のファシリテーションを担当。

二日目の夕方まで、えっちらおっちらと山登りのような時間がつづき、きつめの直登もあり(比喩です)、でも夕方にはスパーンと尾根筋に出て、そこからはみんながどんどん闊歩してゆくからファシリテーターとしては暇でよかった。

青木将幸さんの講座でよく扱われる(本にも書かれている)「会議の4つの段階」という話がある。

『マーキーのこんな会議を見た!!―やってみよう、ファシリテーション』より

ミーティングの主旨や背景、目標の「共有」が最初にあって。「そうだよね、でもこんな話も…」と複数のメンバーが視点を出し合ってゆくと、ミーティングは「拡散」し始める。

その「拡散」と、つづく「混沌」に不慣れな人たちは、そうした気配を感じると慌てて「収束」に向かおうとする。迷子になるのが怖いとか、そうなってはいけない気持ちが強いんだろう。
でも混沌を忌避して収束を急ぐと、それは既知の範囲内に、別の言い方をすると〝グループメンバーの集合知〟に成り得ないまま低い位置エネルギーで着地してしまう。

この「4つの段階」を安心して歩いてゆけるメンバーの割合が増えれば、たいていの組織はなんとかなるんじゃないかと思う。「なるようになることが、可能になる」というか。

ファシリテーターの仕事の一つはその歩行介助で、混沌の中でもメンバーたちが安心していられるようになれば吉、という感じではないか。
(余談だが「歩行介助」で検索したら、セコムのサイトに「動きを妨げないのが歩行介助のポイントです」とあった。そうそう! だからファシリテーターに必要な能力は〝する〟ことより、対象の動きを〝感じ取る〟ことだよね。相手の話を「きく」のも同じ……話がそれた)

Zoomの類いはこの「拡散」や「混沌」にあまり向いていないので、コロナ禍を経てこれから息を吹き返す組織は多いと思う。むこう半年間くらいのコミュニケーションの質が、先の数年間に大きな影響を持つんじゃないかな。

1月◯日

福岡の西塔大海さんを招いて、「MEETING」の時間をもった。

タイトルに私が置いた「ひとを利用価値でみない」という言葉を彼が怖がっていて、申し訳ない気持ち。この〝利用価値〟という視点は、翌月の遠野滞在「馬と暮らす、その方法と実践」につづいた。

1月◯日

東京都美術館で、年に一度の「とびらフォーラム」。開場前、登壇者全員がスマホのUDトークをひらいて、字幕付きの立ちミーティングを交わしていた(メンバーに耳が聞こえにくい人がいたので)。「とびらプロジェクト」ではこうしたコミュニケーションが自然に行われている。

もう12年目になるので、自分のかかわり方も、講座の内容も見直したい。最近このプロジェクトに限らず、「仕事で忙しくしている場合じゃないな…」と思うようになった。あらためて学ばないといけないことが沢山ある。

1月◯日

昨年知り合った宮坂友介さんという若手から、秋にひらいた読書会(『自分をいかして生きる』)のお疲れさま会をしようというお誘いがあり、ルシャレに行くと、SPBSの企画の鈴木さんも来ていて話が弾んだ。

本人のモーターで作動している人に会うと楽しい。逆に、言われてとか、仕事だからという律で働いている人の多い社会は面白くない。

1月◯日

関西出張中に少し時間ができた。当日受付があると知り、翌月の遠野の予習を兼ねて「修学院離宮」を見学。この庭園の「大刈り込み」が卒業論文の起点だったと田瀬理夫さんから聞いたことがあり、いつか行きたいと思っていた。

松並木を抜けて、中離宮に向かうところの門に圧倒された。これは破れないな…という感じ。なんだろう。

上離宮をめぐりながら、「そこ」でなく「そこからなにが見えるか」をデザインすればいいんだなと思う。でもこれからランドスケープ・デザイナーになるわけでもないし、いま獲得していることを自分はどう役立てるんだろう。

1月◯日

昨年7月につづき、乾聰一郎さんや友廣裕一さんと、奈良県立図書情報館で2回目の「BOOK, TRAIL」を開催。10年と少し前の「自分の仕事を考える3日間」より年齢層が広い。いいと思う。

「BOOK, TRAIL」にはホストもゲストも参加者も、本を携えて来る。けどその本を薦めたり、推しを競うイベントではない。本より、本人の方に焦点をあてて…というオリエンテーションで始めるけど、目の前の人が本を出すと、つい本に気を取られて、「その本はこの人にとってどうなのか?」という〝本人への関心〟から逸れてしまいやすい。

「難しい!(笑)」とか「少し慣れてきた」と言いながら、本を片手に、互いに関心を向け合う人々の姿が楽しそう。3回目(8/11〜13予定)で勝負を決めたい。


1月は最後に西荻・Titleを訪ね、辻山さんに相談して数冊の本を購入。「書くワークショップ・β」の準備が始まった。そして2月へ。(つづく)