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「好奇心が強く」「実践的で」「変化を怖がらない」人たちとすごして楽しい話

最近楽しかったのは、岐阜の「かがやきロッジ」でやった〝おとなの勉強会〟ですね。この面白さを詳しく書きだすと自慢話みたくなってしまう気もして、あまり書きたくない。でも書きたい。

これは1〜2年に一度、どこかでひらいている非公開の勉強会です。なんらかのテーマのもと、全国各地から選りすぐりの友人や、会ってまだ間もない知り合いが集まる。互いに学び合う場なので、プレゼンターにはwith pleasureでお願いしていて謝金はナシ。交通・滞在費を割り勘で集めて、ときには2泊3日、じっくり話を聞き、一緒にご飯を食べ、ゆっくり語り合って別れる。

今回は朝集合・夜解散の丸1日で、「かがやきロッジ」の市橋亮一先生と平田節子さん。神奈川県立田奈高校から学校司書の松田ユリ子さん。東京都美術館/東京藝大「とびらプロジェクト」から稲庭彩和子さん。港区「芝の家」を手がけてきた坂倉杏介さん(東京都市大学)との時間を、約2時間づつ。

「選りすぐり」と書いたけど、自分が声を掛ける人たちの特徴は、「物事への基本的な関心や好奇心が強く」「実践的で」「変化を怖がらない」人たちだな、といま思った。

ある人が以前「面白い人が好きだ」という出だしのコラムを書いていた。その短文は「面白い人は〝コミュニケーションが取れる〟人たち」とつづき、「コミュニケーションが取れるとは〝場合によっては自分は変わりますよ〟という姿勢が感じられること」と着地していたのが忘れられない。
確かに「私は1mmも動かないし変わりませんから」って感じの人と出会っても、相手と自分の間になにかが生まれる気がしない。つまり、つまらない。同じ時間と空間をともに生きている甲斐がないというか。

その真逆をゆく人々が一堂に会し、同じく関心や好奇心が強く、実践的で、変化を怖がらない人の「私はこんなふうにやってきて、いまこんなふうに考えている」という話を聞いてどうよ?どうよ?と語り合うわけだから、まあ面白くないわけがないよな(と思う)。

アレンジした自分も、ゲストのことを既に知っているようで、その最前線は知らないし、他の人が異なる視点から問いを投げ込むので、都度つど発見があって学びが多い。

もっと言えば、なにをしているとか、なにを語っているかといったことより、あり方というか、その人が「どんなふうにこの世界に居るか」という存在感覚の方が実は大きな影響力を持っている。それはテキストよりもっとスループットの高い形で、ダイレクトに伝え合う方がいい。

気がつくと僕は、書いた本がわりと多い人生になった。これからも書くと思う。けど世の中に「読み物」が多すぎることも気になっていて、書物やテキスト以外での面白さの共有をこんな形で楽しんでいるんですね。これは完全な趣味で、それに付き合ってくれる人がいるのだから、幸せな人生だなと思う。

この丸一日のテーマは、ぐるり雑考の連載で「文化的なたまり場というか」に書いた次の部分。

都市には、個人が一人でご飯を食べ、買い、過ごし、個人が個人のまま一人で生きてゆけるユーティリティが見事に揃っている。人はたくさんいるけど、バラバラなまま生きてゆける方向に整っていて、それは地方の暮らしでも同じく。で、「インターネットとAmazonと宅急便があればどこでも」とか言っちゃうんだけど、それでいいんですかね? 生きてはゆけるかもしれないけど、新しい動きは、そこからどれくらい生まれるかな。
アイデアとは既にあるものの新しい組み合わせだ。社会がいま新しいアイデアや動きや仕事を必要としているなら、それを担う組み合わせが要るし、組み合わせが生まれる機会が要る。たとえば人と人の。このつながりは生命活動そのものなので、それが育って展開してゆくには〝器〟が要る。文化的なたまり場というか。
今の社会には人をバラバラにするものがたくさんあって、つなぐものが、意外にないと思うんですよ。

そんな「たまり場」の社会実装を重ねてきたり、取り組もうとしているおとなが約40名集まって、互いの話を聞き、たくさん語り合って別れた。僕はほぼ全員を存知上げているけど、ここで初めて会う者同士も多い。で、二度と会わない人もいれば、なんだかよく会う間柄になる人もいるだろう。そこはまあ知ったこっちゃないと思っている。

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西村佳哲

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1964年東京生まれ。リビングワールド代表。プランニング・ディレクター。『自分の仕事をつくる』著者。つくる・書く・教える、大きく3つの領域で働く。最新刊は『一緒に冒険をする』(弘文堂・2018)。https://livingworld.net/nish/