リージョ観察日記20181124清水エスパルス戦

神戸のビルドアップ
試合開始
CBが広がりGK含めアンカー藤田が落ちない菱形。これは試合開始からアンカーが落ちていた鳥栖戦から修正した部分。藤田は清水のツートップの背中が見えるポジショニング。

清水のファーストディフェンス

前2節の清水のファーストディフェンスは相手3列目のひとりを2トップが挟む形から入り2CBは放置気味だったがこの試合では2CBにフォーカスしてきた。ここでブスケツと違いターンできずGKにそのまま戻してしまうシーンが目に付いたのが課題。GKから張り出したSBへのディストリビューションも精度に欠けた。

12分あたりからのビルドアップの修正
藤田が2トップの間でターンしたのは12:40以降でここからは3センターが一枚落ちる安全弁としての3バック風にシフト。



なぜ修正したのか?ファーストディフェンスとビルドアップの相関関係について (11.27加筆)
リージョが準備してきたゲームプランとして、これまでの清水は相手ビルドアップに対して4-4-1-1の「1-1」で神戸3列目に圧をかけてくることを織り込んでアンカー落ちのない2CBで運ぶビルドアップで臨んだ(推測)。

一方、ヨンソンはここ数試合の神戸のビルドアップを分析し、清水2トップを神戸2CBにマンマーク的にぶつけ、2列目以降はゾーナルディフェンスを選択した(推測)。

厳密に言えば、清水はファーストディフェンスの始点を通常より高くした&藤田が落ちたことで次のターンとしてセンターサークル付近に下がった場合の清水2トップのポジショニングが半端になった。でポルディが下がってサイドチェンジを飛ばす余地がうまれ先制点の伏線になった

ゲーム開始時点で両者が選択した手札は相手の出方を読んだ上での反応。その反応が結果的に非対称性だったがゆえビルドアップのミスが続いたのがゲーム開始〜10分時点の神戸だった。そしてアンカー藤田が落ちることでボールが前進したのが12m以降の現象。

つまり、アンカー落ちのビルドアップは2CBにフロントの2人がマンマーク的に食いつく2トップにたいしては有効(そうじゃない場合にアンカー落としても効果は疑問符なのが鳥栖戦)



0-0均衡状態でのオフェンス

7分20秒

ポルディが自陣に落ちてファウルゲットからのリスタート。
三田が右から来たボールをボールを左足でリリース。タッチライン際ワイドに張ってるティーラトン。
この時清水はサイド3枚でイニエスタを囲む。数としては清水が多い。古橋がサイドに流れることで立田を釣り出す。古橋が三田へパスを出しセンターに動き直すと立田も釣られセンターに戻ることで小さいスペースが生まれイニエスタがそこに入ると同時に三田からのパスを受ける。イニエスタがクロスに3列目の伊野波が突っ込む。

ここまですべて清水の数的優位下で起こった現象。

相手守備者を動かすことで小さいスペースを発見、創出する仕掛け。オフェンスにおけるハーフスペースの有効性が語られて久しい。
しかしハーフスペースという名詞がサッカーをするわけではない。
ポジショナルプレーという名詞がサッカーをするわけでもない。
外国人監督の翻訳を通した言葉からその人をあたかも哲学者のように仕立て上げる風潮があるが、それは論理の階段を一歩一歩登ることを拒否する人達が作り上げる空気の共謀でしかない。
いかにして相手を動かし、動かしたあとどのタイミングで(ハーフ)スペースに人とボールを流し込み、時間とスペースをシンクロさせるかという手順をピッチで表現させることができる監督はそう多くない。(これは手垢のついた表現としての元プロ選手が試合解説で使う「流動性のある○○」というものでもない)

この場面では鳥栖戦で見られたボックス守備を動かしつつ最後に誰がペネトレイトするかという課題にも手を加えられていたことがうかがわれる。


先制点の伏線
24:00
3バック風のビルドアップの場合、どうしてもポルディとイニエスタのバールを触る位置が低くなる。この場合、グラウンダーのパスで運ぶのも手数がかかり相手の守備を動かすところまでいかなかったのが鳥栖戦での課題。

そこでポルディからのサイドチェンジをティーラトンがダイレクトで落とすことで清水の守備の横スライドのズレを誘発しハーフスペースに三田が飛び込んだ。
ポルディのサイドチェンジはファンボメルがいた頃のミラン4-3-1-2の3センターに入ったセードルフの役割。

先制点
イニエスタがターンして前を向いた状態で立田の両脇には藤田と古橋の2択。ボール、スペース、2人の相手選手を同一視野に入れることが不可能な状態。つまり守備者の選択肢を奪いこちらの選択肢を増やすトレードオフが成立することで得点は生まれた。盤面上からはポルディとイニエスタ周辺には清水の選手が3人。ゴール前では数的同数の状態。what's 数的優位?

失点の場面
大崎が右サイドで持ち上がろうとした時、藤田の前進が遅れてパスがずれたことが原因。ビルドアップにおけるポジショニングのミス。この部分をどれくらいの時間で乗り越えることができるかがプロジェクト全体の進行を左右するクリティカルパスに該当する。

後半
2点目

3列目の伊野波が上がったところでファウルゲットからのFKからのこぼれ玉のクロスを古橋がヘディングで決める。西陽がGKの目に入ったので跳ぶタイミングを逸した不運はあったが古橋をマークしていた河井は遅れ、ファーサイド松原はボールしか見てなかった。

climate around the ballの重要性。

3点目
三田に食いついた清水の右SB飯田が背後のスペースを大開放してくれた。このスペースをバックラインが横スライドするのか金子が落ちるのか曖昧なまま。西陽は目に入らない角度だったがボールはゴールネットを揺らす。使いたいスペースは先占せずに空けたまま最後に使う。いちごのショートケーキで最初にいちご食べるの禁止の令。

この場面でも数的同数。what's数的優位?

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