タビ
私は旅をしたことがないのかもしれない。
自分にとって「旅」とは。
これに答えられるようになる、これがTABIPPOに入るときに掲げた目標だった。
「旅で世界は素敵になる」
なるのかもしれない。
けど、私にはわからない。
私は、旅が好きだと思っていた。
いろいろなところによく足を運んでいたし。
でもそれは、「ライブがあるから」って理由が大半で、そのついでに友人に会う。
その程度だった。
海外に行ったときも、研修や人に会う、それが目的だった。
今考えたら旅じゃない。と思う。
ひとりで海外に行ったのは「ひとり旅」だったと言える。
けれども、その他のものはただ「行った」だけだった。
「旅」とは、充実した時間を過ごし、何かしら「学び」があること、ではないだろうか。
私は、「旅」ではなく「放浪」が好き。
ただただ自分の好きなように、自分のために動く。
目的もなく歩いたり、行き当たりばったりのお店に入ったり。
食べたいときに好きなものを食べ、行きたいと思ったところに行く。
計画なんて何にもない。
学ぶことなんて一切ない。
考え事をしないための「放浪」
非日常ではなく、「日常」の延長。
それが「放浪」
それに気づいたのは、まさしく今「放浪旅」をしているから。
3週間前からいろんな感情を抱いた。
正直疲れたから、何も考えずに放浪する旅。
全てをリセットするために、放浪する。
東京、鎌倉、名古屋、仙台、東京。
まだ途中だけど、いろんなことがあった。
水族館に行っても、魚よりも光を見ていた。
鎌倉では人力車に乗った。
自分の今までとこれからの人生についてもいっぱい考えた。
美術館でも、絵より照明や額縁を見ていた。
名古屋で自分の考えてることも言語化できた。
大好きな海を少しだけ怖く感じた仙台滞在。
苦手意識しかなかったのに「帰ってきた」って思っちゃう東京。
どんな使い方をするんだろう、どんな魅せ方をするんだろうって考えちゃうドームライブ。
いつか推しが立つ瞬間を見たいな、そのときはどんな姿を魅せてくれるんだろうかって想像もした。
なんだ、確実にこの半年の経験が糧になってるじゃん。
ステージの魅せ方、光の影響。
今までもみていたけれども、より考えるようになった。
光に魅了されている。
考えないようにしていても、もう自分の中に有るものだから自然と考えちゃう。
ああ、無駄じゃなかったんだな。
2人で毎晩考えた照明を一瞬で変更されて、私の知らない”照明”になっても。
なにをしていたかわからない当日を過ごしたと思っていても。
他人が認めてくれているからって必死になって自分で認めようとしていても。
もうすでに自分の糧になっていて、かけがえのない時間だったんだ。
彷徨いすぎて何をしていたかわかんなくなっていたけど、ずいぶんと長い旅路を歩んできたらしい。
今は「放浪」なんて思っているけど、長い旅路を締めくくるための立派な「旅」なのかもしれない。
やっぱり旅なんてよくわかんないや。
世界が素敵になるかなんてもっとわかんない。
でも今自分がしあわせだからいいや。
だから、旅で世界が素敵になるのかもしれないな。
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