M23.熱帯夜

SHISHAMO『熱帯夜』です。

SHISHAMOは女の子3人のガールズバンドです。
最初に知ったのは、多分音楽雑誌とかネット記事の見出しだったような。名前だけを知っている時期が続きました。
聴いてみようと思った決め手は、OKAMOTO'Sというバンドが、Instagramかツイキャスか何かでやっていた生配信でした。彼らが『OPERA』というアルバムを制作していた時期、合宿形式で泊まり込みでレコーディングしていました。その際にOKAMOTO'Sのメンバーが深夜にファンからの質問に答える配信をゲリラ的にやっていたのです。その際に、ベーシストのハマ・オカモトが「SHISHAMOで好きな曲は?」というコメントに対して「『君と夏フェス』」と答えているのを見て、「何その曲」と思い聴くに至ったのです。

当時のSHISHAMOの出している作品はアルバム3枚だけ、そのうち一枚は高校時代に高校生活のまとめとして自主制作したもので、その名も『卒業制作』。つまりはプロとして作られたのは2枚だけです(と言いつつ『卒業制作』も名盤なのだけど)。比較的に、世代が一つ二つ上のバンドを聴く傾向にあった私は、「若いバンドだなー」と思いながら聴いた記憶があります。自分よりは年上なんですけどね。(そういう意味では、OKAMOTO'Sも自分の中では「若いバンド」です。やっぱり年上なんですけど。)

『君と夏フェス』はちょっとあまりにストーリーテリングが「甘酸っぺぇ〜〜〜」と言わずにはいられないもので……言及するのも憚られるというか。笑
物語としてはこうです。

———まだ親しさが深まりきってない関係のカップルが、一緒に夏の音楽フェスに行くことにします。
主人公には、御目当てのバンドがいます。だけど、パートナーとは親しくなって日も浅く、まだ打ち解けきっていません。ノリノリで聴いてたらドン引きされちゃうかも…と思った主人公は控えめに楽しもうと決めていました。
けれど、いざ現場についてみると、主人公はもう我慢ができません。暑さも気にならないくらいに盛り上がってしまいます。
バンドが演奏を終えて、我にかえると、パートナーともはぐれてしまっているし、控えめに楽しむこともできなかった自分に気付きます。もしかしたら、これで関係は終わっちゃうのかも、と。
けれど、落ち込んでうつむいている主人公の隣にパートナーがやって来てこう言うのです。
「新しい君が見れたから今日は本当に来てよかった」。
そして主人公は思うのです。「今年の夏終わらないで」と。

………甘酸っぱ!!!!!!!
自分が何かに夢中だったり喜んだりしている姿を認めてもらえる、一緒に喜んでもらえるなんて幸せそのものです。
本当はそんな所を受け入れてもらいたかったりするわけです。素の自分を見てもらいたい。認めてもらいたい。
自分の好きなものに興味を持ってくれて、何かにテンション上がってたら一緒に喜んでくれたり……。そんな喜びは他にありません。
「新しい君が見れたから、今日は本当に来て良かった!」こんなこと言われたら夏待ったなし、終わるな夏、となります。


閑話休題。

『熱帯夜』の話じゃなくて『君と夏フェス』の話をしてしまいました。『熱帯夜』の話をします。
同じく夏の曲ではありますが、少し大人の関係になります。

カップル両側からの気持ちを歌った歌です。1番は主人公、2番がそのパートナー、といった感じでしょうか。いや2人とも主人公と言った方が適切かも。

夏というものはなんとも儚さを伴うもので、この歌も刹那的な様相を呈します。
1番の主人公はパートナーのバイト終わりを待って「会いたい」と連絡をします。2番の主人公はバイト終わりにパートナーの家に直行します。
ストーリーで言えば、これだけです。
なのに、空気感たるや。
会いたいと言う主人公は「わがままを言って嫌がられたらどうしよう」と思います。直行する主人公は「いつでも会いたい。同じ気持ちなのわかってもらえるかな…」と思います。やっぱり関係は深まり切っていなくて、どちらも少し遠慮しています。両思いなのに。これから関係が加速していく気配を感じつつ、危うさ儚さも漂います。

いやぁ、夏だね。

2番の気持ち、とてもわかります。
私だって、どんな状態で連絡してても会いたいと言われれば行きますし、お酒が欲しいと言われれば買って行きます。本当にこういう気持ちになるんだよなぁ。

それでは、また。
あなたを愛しています。

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