M11.ばらばら

星野源が失恋の際に作ったのがこの曲「ばらばら」です。
また失恋だってさ。

元々、星野源はインストバンドでギターとマリンバを担当していました。
インストバンドです。歌を歌っていなかったんです。
ちょっと嘘です。
歌も歌うインストバンドをしていました。
今思えば変な話です。ちなみに俳優業は音楽業とほぼ同時スタートでした。

『ばらばら』は星野源の1stアルバム『ばかのうた』に収録されています。後々インタビューで「自分の声が嫌だった」と語る星野源が、歌うことを選んだアルバムです。(ちなみにそのインタビューはM10.の参考に上げた駄文で触れている奥田民生との対談です)
私が、星野源を知ったのはこの頃でした。

私にとって最初の星野源は「バナナマンと仲の良い人」です。今ではもう関係性があまりに有名ですが(なにしろ紅白のステージで共演したりしています)、3人の関係は双方が売れる前にドラマで共演したのが最初です。
2010年にバナナマンのラジオにゲスト出演して1度きりのオリジナルソングを歌った時が、私が星野源を初めて認知した瞬間です。まさか後々、誕生日のたびに曲を書き下ろしゲスト出演することが定例化し、挙句その曲を元にしたヒットソングが生まれるなんて思ってもいませんでした。星野源の『SUN』は製作時のタイトルは『SUN VILLAGE』(日 村)、メロディは日村さんへのバースデーソングが元になっています。元では「日村近寄るな どこか遠くへ行けよ」とディスっていた部分が「祈り届くなら 安らかな場所にいてよ」になっています。正反対です。

星野源は今でこそ、日本中を踊らせる売れっ子だけれど、最初の頃はもっと孤独に世界を歌っていました。お部屋の隅っこで滔々と歌うような。
私は今のブラックミュージック、ダンスミュージック全開の彼も大好きなのですが、初期の頃の彼も等しく大好きです。
今となっては、最早知らない人の方が少ないくらいになってしまいましたが、自分だけのこじんまりとした隠れ家を見つけたような気持ちになりました。

今の彼の音楽にも同じものを感じます。
ひとりぼっちの小さい部屋から、大きな世界となった今でも、出発点は同じような気がします。
この曲『ばらばら』は、彼の初めての東京ドームでのコンサートで、客席の「中」で歌われました。大きな会場だからこそ、一曲くらいお客さんのそばで歌いという彼本人の希望だったそうです。やっぱり彼から見えている地平は変わらず地続きなのです。

彼の歌にはこれまで本当に支えられてきました。
聴くことによって能動的になれました。
彼の音楽は大衆に受け入れられましたが、その内は変わらず個人的なものだと思います。

今の今まで忘れていましたが、『ばらばら』の収録されているアルバム『ばかのうた』は彼が25歳の時に作ったものです。今の私と同い年です。道理で響き方が違うわけです。(と、安易に考えてみますが年齢など意識して聴いたことはありませんので、きっと違います。)

「本物はあなた 私は偽物」

今はこれまでと違って響きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?