M5.ええねん

ウルフルズは特に意識せずとも知っているポピュラーバンドだった。特に好んで聴いていたわけじゃないけれど、『ガッツだぜ‼︎』『バンザイ』だけ知っているという感じ。
そもそも、自分が能動的に音楽を聴き始めた時にはウルフルズは活動休止、バンドメンバーはそれぞれがバラバラに活動していた。フロントマンのトータス松本はソロ活動と役者活動を並行して行っている時期だった。

ロックンロールショーにトータスが出ていたことから、「名前は知っているけれど、よくよく考えたら2曲しか知らないな」と思い改めてウルフルズを聴いてみることとした。
ウルフルズ1番のヒットの『ガッツだぜ‼︎』は自分の生まれ年にリリースされていて、ヒット曲の息の長さに驚いた。自分が音楽を聴くようになった時にはもう既にジャンルやファンは細分化されていて、みんなが知っている曲なんてものはほとんどなくなっていた。

活動休止というものは便利なものだ。更新されないからだ。現行のミュージシャンを好きになると、こちらが過去を掘り下げている間に進んでいってしまい中々間が埋まらない。活動休止中は当然ながら新しい活動がないので、距離を埋めることが出来る。(と言っても初期から知っている人、活動中から知っている人には絶対に追いつかないんだけど)

ウルフルズが活動をしていない間、旧譜を聴くだけじゃなく、ベースのジョンBのエッセイを読んだり、フロントマンのトータスのエッセイを読んだり、バンドの内情を知りすっかりファンぶっていたのが中3高1頃の私である。
ウルフルズというバンドは何度かメンバー編成が移ろっている。最初にトータス松本、ウルフルケイスケ、ジョンB、サンコンJr.の4人で始まったバンドは、ベーシストジョンBの脱退と復帰、バンドの活動休止と再開、リーダーであるウルフルケイスケの活動休止、と現在まで紆余曲折だ。
脱退と復帰をしたジョンB、ずっと真ん中に立ち続けたトータスそれぞれの気持ちをエッセイで読んだ自分はウルフルズへの興味が深くなっていた。

プレイリストに入れた『ええねん』はジョンB復帰後の1作目で、彼に向けて作られたような曲だ。何もかもを「ええねん」と肯定する曲。ウルフルズを聴くようになった頃はもうすでに捻くれていて、良きこと気なことを歌っている音楽には心が動かず、なんならアレルギーのようになっていたが、これだけ360度全肯定だとあまりの潔さに好きになった。
『ええねん』は同名のアルバムも出ていて、そのアルバムも愛聴盤だ。

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