Monty Hall Antinomie

ルール

(1)3つのドアにそれぞれ(景品、ヤギ、ヤギ)がランダムに入っている。
(2)プレーヤーはドアを1つ選ぶ。
(3)モンティ(司会者)は残りのドアのうち1つを必ず開ける。
(4)モンティの開けるドアは必ずヤギのドアである。
(5)モンティはプレーヤーにドアを選びなおしてよい、と必ず言う。

問題

(景品を獲得したい)プレーヤーはドアを変更すべきだろうか?

解答

解答①
正解は「ドアを変更しようとしまいと確率は変わらない」である。なぜなら、残った2つのドアのうち景品のドアは1つなので、当たる確率は1/2だからだ。

解答②
正解は「ドアを変更する」である。なぜなら、ドアを変更した場合には、当たる確率が2倍(1/3→2/3)になるからだ。

3(+1)つの立場

立場X(人間的立場)
3つの扉から1つを選び、ヤギの扉が開示されたあと「改めて選択を吟味する」立場。

立場A(プログラムA)
3つの扉から1つを選び、ヤギの扉が開示されたあと「必ず選択を変える」立場。

立場B(プログラムB)
3つの扉から1つを選び、ヤギの扉が開示されたあと「必ず選択を変えない」立場。

立場Y(プログラム的立場)
立場Aと立場Bの対立を内包する立場。

分析

解答①が正しい、という判断が為され勝ちなのは、立場Xにしか・・身を置けない人が多いからである。

解答②が正しい、という判断が為されうるのは、立場Yに身を置ける人がいるからである。

立場Yに身を置けば、その内部で対立する「立場A/立場B」を吟味する機会が与えられ、斯くて立場Aの正しさが帰結する。

立場Xの場合「ヤギの扉が開示されたあと」に判断の楔を打ち込むことができるが、立場Yの場合にはそれができない。

立場Yのプログラム性を抉出する新たなルールの提示

(1)3つのドアにそれぞれ(景品、ヤギ、ヤギ)がランダムに入っている。
(2)プレーヤーがドアを1つ選ぶ前に、モンティ(司会者)は以下のように述べる。
(2-ⅰ)あなたがドアを1つ選んだあと、私は残りのドアのうち、ヤギのドアを1つ、必ず開けると約束します。
(2-ⅱ)ドアを1つ開けたあと、私はあなたに「ドアを選びなおしてよい」と必ず言います。
(2-ⅲ)あなたはドアを選びなおしますか?    今、答えてください。

結論

人間はプログラムではないがゆえに、解答①が正しいという判断が為されることには、ある程度の合理性がある。

解答②が正しいと判断できるのは、問題を問題として(プログラム的に)扱うことが出来る者――この問題を外から眺めている我々なのである。

新たに提示されたルールは、人々をプログラム的(外的)視点に拉し去る。

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