銀杏並木を歩くオタク

東京は噂通り、気温も人も冷たい。
東京に来たての頃毎日思う事だった。

彼女は日本で出来た初めての友たち、でも6年経っても彼女から「友たち」承認されていないようだ、よく「日本の友たちは1人しかいない」と私じゃない第三者の事を言っているから、いわゆる友たちの片思いってヤツ。

基本「姉さん~姉さん~」と呼んでいるから、もしかしたら弟として見られているかも、弟キャラとして生きていきたい私にとっては好都合。

姉さんと出会った頃は野良猫の雰囲気を出していた、私と同じタイミングで東京に来たのに既に東京に染まられた人と認識していた。初日の帰り道彼女が銀杏並木を歩く英姿颯爽な後ろ姿は今でも覚えている。

きっかけは忘れたが、基本仲良くしたいと思ったら相手のパーソナルスペースを裸足で走り回る癖があるので、嫌われる事もしばしばだが、彼女とは無事に仲良く出来た。

姉さんと言ったら「独立」という言葉が真っ先に浮ぶ、生活も人格も独立している。趣味も仕事ものめり込むタイプのちゃんとしているオタク、自由で自律している人だから酔っぱらって絡んできたのが嬉しかった。

多分彼女も私も色んな束縛から解放されたいから日本に来たと思う、似ている所も結構ある。恋愛は「いつか分かれる」と思って毎回付き合っているし、同じDINKsだし、愛情表現も下手。
去年一番泣いたのは「辛い」と言ったらわざわざ時間作って会ってくれた事、号泣。

姉さんからもらった就職祝いのペンはいつも持ち歩いているが、
彼女への就職祝いはまだ上げていない、最低だ。


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