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病歴36:マッサージを受けたい

6回目の抗がん剤の後から、口内炎が気になるようになった。
この7回目のクールも、やっぱり口内炎ができた。
どうやら、白血球が一番少なったあたりで、口内炎がひどくなるようだ。

現在、通院先ではメインの婦人科のほか、緩和ケア内科と歯科にもかかるようになった。
その歯科で、抗がん剤治療中、リンパが滞って、顔が腫れるので、頬の内側を噛んだり、舌を噛んだりしやすくなると説明を受けた。
顔が腫れる。
ショックである。
顔が腫れる…確かに…。
いや、太ったのもあるんだけどさ。
1年で5kgの体重増は、腹回りにももたが合体したようなものである。

となると、リンパドレナージュとかええんじゃないのか?と素人考えをしたわけである。
もともと、私はマッサージを受けるのが好きだ。
タイ式、バリニーズ、ロミロミ、台湾式など、いろんなケアを体験するのが好きだ。
一番好きなのが、アロマオイルを用いたもの。どの香りにするか、選ぶのがすごく好き。
普段は鍼灸院に通っているけれど、ちょっとまったりいい香りに包まれるのも、気分転換としてよいなぁ、と思ったまではよかった。

久しぶりにホットペッパービューティーをダウンロードして、サロンを探すのは楽しい。
通いやすいエリアで、でも、職場からは少し離れているところ。
あんまりご近所さんで、知り合いと鉢合わせするのは嬉しくない。
いくつか目星をつけたなかから、クーポンを選んで予約をした。

30分もしないうちに、お断りのメールが来た。
がん治療中は施術できないとのこと。
なんてこった。

そのままにするのは残念で、気持ちはマッサージに行きたいモードに入っていたので、また別のサロンを御予約した。
朝、起きたら、やっぱりお断りのメールが届いていた。
がん治療中は施術できないとのこと。
たとえ、医師がOKして診断書を書いてくれたとしても、だめだとのこと。
おーいー。

リンパ浮腫というものがある。
がんの治療部位に近い腕や脚などの皮膚の下に、リンパ管内に回収されなかった、リンパ液がたまってむくんだ状態になることだ。
リンパ節を切除していたり、放射線治療で起きやすいという。
子宮を摘出したときに、病室で説明のビデオを見せてもらった。
セルフケアでリンパマッサージをするようにしめくくられたビデオだった。
そうやって病院では自分でやれと勧められるぐらいなのに、なんで断られるのかが納得がいかない。

気になったら調べずにいられない性で、ネットの海をうろうろした。
学校法人衛生学園のサイトでは、医療徒手リンパドレナージの禁忌を以下のようにあげている。

原則的な禁忌
・感染症による急性炎症(蜂窩織炎(ほうかしきえん)など)
・心性浮腫、心不全
・下肢の急性静脈疾患(深部静脈血栓症、静脈炎など)
相対的な禁忌
・悪性腫瘍がリンパ管を直接圧迫している場合

https://lymph.gto.ac.jp/program.html

どれも該当しないんだけどなぁ。
私の場合、リンパ節は切除していない。リンパ浮腫というほど、手足がぱんぱんにもなっていない。
リンパに転移もしていない。腫瘍がリンパを圧迫もしていない。
というかですよ。
私、医療ケアとしてのリンパドレナージュではなく、美容目的のものを受けたいんですけどー。
美容目的で全然おっけーなんですけどぉぉぉぉ。

今、抗がん剤治療に際して、禁止されているのって、なまものを食べるな、県外に行くな、ぐらい。
運動はできるならやっとけ、だし。
とにかく感染症に気をつけろ、だけなのに。
とはいえ、抗がん剤治療中であるというのは見ればわかる外見であるので、ばか正直に言わずにおいて、行ってから断られてもしんどいし。

リンパを謳っているところは勘違いが激しいと予測して、作戦を変える。
オールハンドのアロマオイルを用いたマッサージを希望する。
認定NPO法人キャンサーネットジャパンのHPに、こんな風に書いてあるぞ!

アロマセラピーは精油(エッセンシャルオイル)を使って、香りを楽しむことで、リラクセーション効果を誘い、症状の緩和を図る治療方法です。緩和医療学会の補完代替医療ガイドラインでは、マッサージと組み合わせた場合、がん性疼痛や吐き気の緩和やリラクセーション効果などが期待され、有効な補完代替医療の1つとされています。

https://www.cancernet.jp/seikatsu/mind/hints/feeluneasy/

さらに、「がんの補完代替医療ガイドブック 第3版」にたどりつく。これは、厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』でダウンロード可能である。
その中で、<推奨度:強く薦められる(質の低い科学的根拠あり)>という群のなかで、マッサージがあげられている。

推奨度:強く薦められる(質の低い科学的根拠あり)
・不安や痛みに対するマッサージ療法(総合的な治療の一部として)
・ストレスの軽減、生活の質(QOL)特に疼痛や倦怠感の改善を目的とした生体エネルギー場の考え方に基づく療法

https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/doc/pdf/cam_guide_3rd_20120220_forWeb.pdf

生体エネルギー場のほうは、興味がない。
また、補完代替医療を利用する際の注意事項の注意の中に下記の文言があった。

がんの部位、腫大したリンパ節、放射線治療を行った場所、静脈内留置カテーテルのような医療機器のある場所、手術後に解剖学的に歪みがある場所の近くは、強いマッサージは避ける。出血傾向のある場合には強いマッサージは避ける

https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/doc/pdf/cam_guide_3rd_20120220_forWeb.pdf

これは納得である。納得であって、私は該当しない。
該当しないんだから、マッサージを受けていいじゃないか。
悔しいので、違うサロンへ、今度は電話で問い合わせてみた。
美容目的です。リラックス目的です。症状改善しろとか言いません。医師にも止められていません。どーだ!

無事に予約が取れたので行ってくる。
そいでもって、来週月曜は再び抗がん剤治療を受ける。
今後も続くがん闘病生活を少しでも快適に過ごすため、心身を整えるサービスやサポートを、今後も探しておこうと思った。

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