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病歴19:抗がん剤治療終了から1年以上

抗がん剤治療が終了して1年以上が経った。
ちょうど1年ぐらいして記事を書こうと思っていたが、その頃は調子もよくなかったので今になる。
その後の髪の毛のことや体調のことを書こうと思う。

6クール18回の抗がん剤治療が終了したのが2020年4月中旬。
5月頃から髪が生え始め、去年の今(7月)頃には帽子で隠さないようになっていた。
なにしろ、帽子が暑かったので、まだ髪は短かったけれども、隠すのをやめた。

それから1年。
髪は順調に伸びた。
生え始めの髪の毛は細くて柔らかく、額の生え際のあたりは伸びも遅く、髪質は変わった気がする。
頭頂部の髪も耳にかかるぐらいの長さになり、言わなければ抗がん剤治療を受けたことはわからない外見になった。

今年の夏はひときわ暑いので、このまま髪を伸ばすことをあきらめて、切ってもらったぐらいだ。
秋になったら、冬に向けてボブカットを目指すかもしれないけれど、暑い間はショートでいい。
洗うのも乾かすのも楽で、非常にいい。

そんな具合に、外見で気が引けることはまったくなくなったが、手足のしびれや痛み、脱力は変わらずある。
経口の抗がん剤(分子標的治療薬)を服用し続けていることで、全身の倦怠感や疲労感が強く、体力が回復しないままだ。
1年以上経っても、フルタイムの就労に復帰できないとはまったく思ってもいなかった。

とにかく疲れやすくて困る。少し活動すると息切れがしたり、動悸がする。
世界の中で、自分だけが高地で生活しているような気がしてくる。
歩いても息切れ、立って話すのも息切れ。5時間以上活動すると、動悸がして、胸痛がして、たまらず横になる。
帰宅しては横になり、出勤しない日は横になり、なんとかなんとか生き延びている気がした。
家族には申し訳ないが、とても家事まで手が回らない。
なにも意欲は出ないし、できないことで自責感や抑うつ感が高まるしで、精神的に徐々に削られていった。

1年間は我慢して服用しようと思ってきたけれど、1年経ってさすがに苦しくなった。
それで、今年の6月頃から、婦人科の主治医のほか、緩和ケア内科医と精神科医、心理職に関わってもらうことになった。

まず、見直しをはかることになったことが睡眠。
睡眠薬をオレキシン受容体拮抗薬にし、7時間は離床しないで体を休めるようにして、常に脈が100以上あるような状態が改善した。
少し歩くと息切れするのは変わらずだが、夕方から夜にかけての動悸や胸痛はほとんどなくなった。
一晩に2回ぐらいの中途覚醒はあるし、翌朝に持ち越しやすいのが難点だけれども。

主剤の分子標的治療薬も、容量を少なくすることになった。
どうせ我慢して服用するなら最大の効果が報告されている容量でと思って服用してきた。
これを減らすことは、再発の危険性が増えるようで、なかなか踏ん切りをつけられなかった。
その気持ちの整理に、緩和ケア内科医の診察や心理職のカウンセリングが役立ったのだと思う。
婦人科主治医も、これからも服薬するために服薬しやすい量にすることを笑顔で支持してくれた。

今までの3分の2の容量に減らしてみて、倦怠感は10だったものが3ぐらいまでには減ったような気がする。
いまだ疲れやすいし、味覚はおかしいけれど、体がだいぶと軽い。
これなら、体力をつけるために何かしてみようと思うことができる。
まだ体力がなくて疲れて寝ちゃうことは続いているけれど、気持ちが少し楽になって、少し前向きになった気がしている。

精神的な落ち込みの改善や、意欲を取り戻すために、抗うつ薬も試したのであるが、これはむしろ眠くて眠くてなにもできなくなるので、服用をギブアップしてしまった。
1日20時間も寝ちゃうのであれば、かえって何もできなくなる。
少しは気持ちが前向きになって来ているので、抗うつ薬を服用するよりも、体力の回復を企図して軽い筋トレや運動を生活に取り入れていくほうがいいんじゃないのかと、次の精神科受診時に相談しようと思っている。

この一年間を経て、週40時間就労することで生活が成り立つ収入が得られるというのは、人に優しくないモデルだと思うようになった。
週40時間就労というのは、仕事しかしなくてよい、その他の部分を誰かにゆだねられる人ができるものではないだろうか。
なおかつ、心身共に頑健であることが必須な条件となる。長い人生の間、頑健であり続けなければならないことが条件となる。
けれども、人によっては、時によっては、家事や育児、介護、闘病など、さまざまな活動を両立せねばならないから、疲労を蓄積させてしまったり、就労をギブアップせねばならなくなる。
現行、週40時間就労するか、それとも、生活保護や障害年金を取得するかの2択になってしまっていないだろうか。

だからといって、我が家の場合、主たる稼ぎ手である私が就労しないという選択肢はない。
現在の仕事そのものが、私にとって好きなものであり、大事なものであるが、心身の調子が悪い日には休養を選びたくなることはある。
フルタイムに戻ろうというモチベーション自体が希薄になってしまっている。
ここから先、自分の闘病と、家族の介護、家事といったものと両立しうる労働時間および収入との折り合いを考えていかなければならない。
変数の多すぎる方程式のようなもので、考えていると気が遠くなりそうなのだけど、考えていかなければならない。

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