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病歴34:6クール目の痛みとケア

足の裏が痛い時は、人魚姫を思い描く。
くるぶしが痛い時は、オイディプスを思い出す。
すねが痛い時は、弁慶になるのだろうか?

痛みというのは、他者の目に見えない、極めて主観的な体験だ。
痛みを説明するのは難しいし、他者の痛みを理解することも難しい。
痛みの中には、心の痛みや魂の痛み(スピリチュアルな痛み)もあるし、体の痛みもある。
心や魂の痛みは、心や魂がそもそも見えないものであるが、体の痛みだからといって他者と共有しやすいかと言えば、そうではない。

8月15日。6回目の抗がん剤治療を受けた。
今回は初日からつらかった。味覚障害も毎度のことであるが、倦怠感と痛みがひどく、年内も、来年も、その先もこの治療を続けていくことに、気持ちが暗くなるほど。
振り返って考えると、前週に4回目のコロナのワクチン接種をうけたことで、これまでよりも白血球が少ない状態で抗がん剤を受けたことが、作用していたのかもしれない。
こんなに、しんどいクールは初めてだった。
いまだにしんどくて、回復しづらい。7回目を3週間後ではなく4週間後にしてもらっていて、ほんとによかった。

抗がん剤治療から10日間は骨髄が抑制され、そこから10日かけて回復して、次の抗がん剤の治療を受ける。そういうリズムで、4月から生活してきた。
この前半の効果がダメージとなって出現している時期と、後半の次に向けて回復する時期とで比べると、痛みは、前半のほうが多く、痛い。
しかも、治療を重ねるにつれて、痛む場所も増えてきた。
鎮痛剤を服用すると、ほっとするが、痛みがゼロになることはない。

そういう抗がん剤治療でダメージを受ける時期に重なるようにして、8月はいろんなことがあった。
私の心の痛みの部分として、同じ病気で治療中の県外の伯母が不調である知らせや、他の伯父が体重が30kgを切ったとSOSを求めてきたり、親戚がらみの問題が同時期に発生。そこに飼い猫の交通事故が重なった。
社会的にも、コロナの第七波に加えて、高額療養費制度がどうなるかわからないというようなニュースに、青色申告に関する税制の変更についてのニュース。
社会が殺しに来てる感じがしてしまう。
コロナは、がん患者ととても相性が悪い。受けられるはずの治療が受けられなくなるかもしれないというニュースはとても怖いものだ。
注射針が入荷しなくなったとか、そういう一つ一つの情報がとても怖い。
カロナールやロキソニンが処方されにくくなることも、とても怖い。

体の痛みを味わう時、それが皮膚のものなのか、筋肉のものなのか、神経のものなのか、内臓のものなのか、を考える。
皮膚が傷ついた時の痛みと、肩こりなどの筋肉の痛みと、三叉神経痛などの神経の痛みと、それぞれ、体表からの深さも違うし、痛みの種類も違う。強さも違う。耐えがたさも違う。
ぴりぴりした感じ。ずきずきした感じ。針が差すような小さくて鋭い、つーんとした感じ。ちくちくと何度も針で刺されるような感じ。ぐりぐりとその針を奥まで差し込まれるような感じ。ずーんと重たい感じ。きりきりとした感じ。ひきちぎられそうな感じ。焼けるような感じ。しめつけられるような感じ。腫れぼったい感じ。腫れあがる感じ。押し付けられるような感じ。
一瞬で消える痛み。最初は強くて、しばらく余韻をひく痛み。ずっとそこにある痛み。

ダメージの時期は、痛いので、痛いことで頭がいっぱいで、そのことしか考えられず、痛い痛いと言い続けてしまう。
ここから身体の痛みについて、つらつらと書いていたのであるが、今は回復の時期に入った。
実感が薄れたこともあり、その身体の痛みについての部分は削除することにした。
あんまり痛い痛いとばかり言っている自分に嫌気がさしてしまうのだ。
そのくせ、口内炎がひどいので、現実には痛い痛いと言わない日はないのだけど。
それよりも、今はもう少し、日々できることを頑張っていたい気持ちの方が強いので。

最近、始めたトレーニングがある。
痛みの強さや倦怠感がある時期は寝ているしかしょうがないのだけれども、回復の時期は仕事にも行くし、出勤すれば1日3000歩ぐらいは歩くので、足に重りをつけることにした。
最初から負荷を大きくしても続かない気がして、一番軽い250gほどの重りを、それぞれの足首につけて1日を過ごす。
これが意外といい。最初は余裕余裕~♪と思っていたのだが、地味に疲れる。
筋肉痛まではならないが、夕方の疲労感が大きく、それなりに効果があるのかな?という感じ。

座ったままでも暇があれば足踏みしたり、かかとだけをあげてみたり、膝を曲げたり延ばしたり。
太ももから下腹部にかけての筋肉が衰えると、膝が上がりにくくなり、歩く姿勢が崩れていくので、その防止として、引き続き使っていこうと思う。
痛みが強いと前かがみですり足の姿勢になる。足が痛くて感覚がないから余計にすり足になる。
そこを踏ん張ってなるべく状態をまっすぐ起こす。下腹部から胃のあたりにぐっと力を入れて、つま先から頭のてっぺんまで背骨をまっすぐにするイメージ。
肩の力を抜いて、腰を柔らかく、股関節を大きく動かしながら、着地する音を小さく意識しながら、歩く。
できれば、下腹部のあたりに効いてくれると、ほんとに嬉しい。

真夏の暑い盛りは避けていたが、再び乗馬に行くのも楽しみだったりする。
両足裏のしびれがあるため、あぶみに踏ん張るのは難しいから、速歩や駈歩は難しいが、常歩ならば問題ない。
外乗(馬場の外で楽しむ乗馬のこと)は、自然環境も味わえるし、気分転換としても気持ちがいい。
その上、人との距離もばっちりあるので、感染症の心配も比較的少ない。
頻脈がちであるので、心肺機能を高めるような運動はつらいのだが、こういった抗がん剤治療中でもできる運動はある。
まだまだ続く抗がん剤治療であるから、自分のケアは心掛けていきたい。

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