もう魔法の絨毯はいらない?



 3連休だけど、外出もできないしあまりに暇で暇で暇すぎるので、大好きな実写版アラジンを見た。

 ちなみに、公開時も2回見た。1度目は友人と、2度目は母と。終わった瞬間に出てきた言葉は同じだった。
「めちゃくちゃよかったねーー」

 だけどそのあと行きつけの居酒屋で刺身を食べながら、カフェに入って、パフェを食べながら。話したことは全然違っていた。

 友人とはSpeechlesの良さをひたすらに語った。会社に行く前に聞けば、全部倒せる気がするって。くそな上司も、理不尽な指示も。今こそ自由の扉開け、羽ばたいてみせる、だわよ!って。羽ばたきとともになぎ倒せるわよ!って。英語版も日本語版もどっちも好き!

 でも母は違ってた。 

 ホールニューワールド素敵だった、っていった。
 うん。そうだね、確かにめちゃくちゃそこもよかった!最高だった!でもわたしが涙でたのはジャスミンが立ち上がるところだよ、って話した。
 そしたら母はなんとなく寂しそうな、嬉しそうな顔でいった。

「そっか、なんかわかった気がする。もうあなたたちの幸せは大好きな彼に手を引かれて、魔法の絨毯にのって連れて行ってもらう場所にはないのね」って。

 その時は「そうだよ、男に守ってもらう時代は終わったのだ!」とふざけてみたけれど、そのあともなんだか忘れられなくて、考えてた。その結果として、本当はちょっと違うなって思った。


 虎を横に従えて、自分の足で地面に立って、強く戦えることはすごくかっこいい。
理不尽とは出来る限り戦いたいし、自分の力で生きていきたい。負けたりするのは絶対にいやだ。
 でも、別に魔法の絨毯に乗って、美しい景色を大好きな人と見ることだって素敵だ。
 だからわたしなら、虎が横にいて、強く正しく戦って、疲れた時には魔法の絨毯に乗って休みたい。それはひとりの日もあって、友達とギャアギャアいってる日もあって、まあたまに大好きな人が隣にいる日もある。
 
 みんながそんな風に、もっと自由だといいなと思う。そんな日が来るといいなと思ってる。

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