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レッドペッパーの極意

これだけははっきりと言い切れる。

ここまで使い倒したルアーは今までにない。

まさかこの歳で立ち浮きのペンシルベイトにこんなにも夢中になるなんて思ってもみなかった。

夢中になるキッカケはちゃんとある。

同級生でT.B.F.C.のメンバーであるモンリだ。

僕がまだ20代前半の時にモンリが連れて行ってくれた池があった。

その池は山の斜面にある半円のカタチの農業用池だった。

歩いて池は一周できず、丁度湾曲している部分だけがコンクリート護岸されていた。

対岸の中央にはフルキャストして届くか届かないかの位置に巨大な太い枯木が水中から空高くそびえ立っていた。

ある日、モンリがその池に着くと細い赤頭の白いペンシルベイトを竿先にぶら下げその巨木に向かって大遠投をした。

空高く綺麗な弧を描きながら物凄いスピードで飛んでいった。

ルアーは巨木ビチビチに着水したが、ラインが巨木の枯れ枝の上をまたいでしまっている。

どうするんだろう…

モンリは躊躇なく提灯釣りを選択し、枯れ枝からぶら下がるラインを利用して赤頭を水面で上下に揺さぶりパチャパチャさせていた。

すると

ガバッ!

バスが水面を割って出た。

35センチぐらいだろうか、その元気なバスは枝にラインがぶら下がっているので宙ぶらりん状態になってしまった。

どないしょうか…

そう考えている時、何か左岸から気配を感じた。

それは左岸の水面からひょこっと小さい突起が水面に現れては消え、また現れては消え、ルアーを咥えて宙ぶらりんになったバスめがけて尺取り虫のようにゆっくりと近付いて来た。

アレ何?

そう言っていた瞬間、

宙ぶらりんのバスの真下から茶色い小動物が飛び上がった!

イタチじゃーっ

尺取り虫の正体はイタチだった。

そしてそれは一瞬だった…

イタチはバスの胴体に喰らいつき、グルグルグルと激しく回り凄い動きのままバスと共に水中へ派手に消えていった…

ルアーは?

するとその重みの反動で枯れ枝に垂れ下がっていた赤頭のルアーはこちらにこれまた綺麗な弧を描きながら帰ってきたのだ…

嘘みたいな話だが本当の話だ。

その時、奇跡の生還を果たした赤頭の白いルアーがティムコのレッドペッパーだとモンリが教えてくれた。

ショッキングな出来事だった。

バスを釣ってイタチも喰らいつくルアーとして僕の脳裏に焼きついた…

それからしばらくして中古釣具屋でレッドペッパーを買ってタックルボックスに入れていたがハンドメイドルアーをメインで使っていた当時はあまり出番が無かった。

いわゆるリアル系ルアーだった事もあって当時はわざわざ使うまでいかなかった。

なぜなら、25年前は今では考えられないぐらいバスは簡単に釣れていたからだ。

でも今は25年前では考えられないぐらいバスは釣れなくなってしまった。

そこで思い出したのがレッドペッパーだった。

果たしてあのルアーは今、通用するのだろうか…

タックルボックスをひっくり返しレッドペッパーを見つけ出し、釣りへと連れて行った。

すると案外簡単にバスは釣れてしまった。

小魚が逃げ惑うパニックアクション

これが当時からのレッドペッパーの代名詞的な動きだ。

パッケージの裏にも使い方が書いている。

僕がよく使っていたタックルはスミス社の6フィートのグラスロッドでライトアクションのバスマニックをチャンピオンフェルールに変え、リールはプラッガー、16ポンドのナイロンラインの組み合わせだった。

エンシエンシからのハプシンスハプシンス、時にイングディンスイングディンス

ハンシハンシハンシからのインスインスインス

阿保みたいな表現だが、僕のレッドペッパーの動かし方はコレである。

エンシ(遠視)とは遠くにキャストしてロッドを大きくしゃくるの意。

ハプシンスはおじぎさせる様な小さい動きの意。

イングディンスは大きくダイブさせて水面に現れる様な動きの意。

ハンシ(半視)は近くにキャストして普通にロッドをしゃくるの意。

インスは小さくダイブさせて水面に現れる様な動きの意。

あくまで僕のニュアンスでの表現なので何を言っているのか分からないと思う。

けど、もしこのニュアンスが何となくでも分かる人がいたら是非試してほしい。

実際、激渋のタフな状況の時にこのレッドペッパーは役に立ってくれている。

水面直下の動きにしか反応しない時や口を使ってくれない時にレッドペッパーなら…と思わせてくれる。

どんなルアーでも言える事なんだろうけど僕はひたすらレッドペッパーを使ってきて意識させられた事がある。

それは「間」だ。

イングディンスした後のしばらくボヨンボヨンしている余韻が大事だ。

ボヨンボヨンが終わった後によくバイトしてくる事もわかった。

なにせ、この「間」がキモなのである。

2022年9月24日、僕は七色ダムにいた。

テフテフのディレクターでミルポンドの朝野くんがTOPWATERJUNKYの内藤さんとBOOTLESSBOYSのまっくんをゲストに呼んでイベントを七色ダムで開催した。

それに僕も便乗した。

初めての七色ダム。

ガイドをしてくれたのは堀川くん。

堀川くんはデカバスを釣らせる事で有名な名ガイドだと聞いていた。

以前、堀川くん自身も59センチを捕獲
嬉しい事にXEXEで釣ってくれた!が、この丸飲みはゴツ過ぎる…

24日の朝4時にスロープに到着した我々は挨拶も早々にフィールドへと出船して行く。

前日の台風でイベント開催も危ぶまれたが、水位も通常より少しあるぐらいで水質も綺麗に思えた。

様々なポイントへと堀川くんがガイドをしてくれた。

日が上るとやはり釣り人のボートが点々と現れる。

全盛期の旧吉を思い出す。

僕はツータックルで臨んでいた。

そのワンタックルが先に説明していたバスマニックのタックルだった。

レッドペッパーJr.をぶら下げて。

サーチルアーとしてもこのJr.サイズをよく使うので初見のフィールドにはもってこい。

そのレッドペッパーjr.が岸に引っかかり堀川くんが船を岸際に寄せてくれている時、

佐藤さん、それバスちゃいます?

確かに岸際の岩盤にピッタリ寄り添う40センチぐらいのバスがいる。

が、丁度ルアーが引っかかった真下辺りだった。

ルアーを回収しても投げられないぐらい岸に近かったのでとりあえず引っかかったルアーを水面に落としてみた。

するとその40ぐらいのバスがゆっくりと水面に浮いてきた。

45…50…ご、55センチ?…

みるみる大きくなってくるサイズのバスにその場でエイトトラップをしてみた。

そのバスは頭が上を向いて完全にルアーを見ている…

右へ左へ大きく竿先に付いたレッドペッパーJr.を走らせてみるとバスがその動きに連動するかの様に首を振り出した…

少しリズムを変えてテンポを変えてみるとバスは頭だけでなく体もルアーの動きに連動しだし…

ドバッ…ドボッ…ガバッ…

4回目のバイトで僕のロッドは水中へとギャン曲がった!

そこからは↓

60センチのバスが釣れてしまったのだ…

結局薬局、この時に覚えているのは

堀川くん、動画回して!

と叫んだ事だけだった。

レッドペッパー、レッドペッパーJr.

あと、もうちょっとこうだったらいいのに…な部分を足す事が出来ればこれはもうGOODCASTからリリースするしかない。

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