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異種材料のチューブ間の接続

システムを構築する時、異種材料同士の接続が必要になる事は、結構あるものです。

 水用であれば、ガーデニングでお馴染みの水栓用のワンタッチコネクタ、圧縮空気であれば、やはり、同様のワンタッチ継手、又はホース用差し込み継手にホースバンドで固定、など多種あります。
 それに比べて、テフロンチューブ、ステンレスチューブ、ガラスチューブ、銅チューブとなると、材質の切り替わり点での接続は、結構悩ませるものです。

 例を挙げてみると、沢山ある事に驚いてしまいます。

1. ステンレスチューブからテフロンチューブ
2. テフロンチューブからゴムチューブ
3. ステンレスチューブから銅チューブ
4. テフロンチューブからガラス管
5. ステンレスチューブからガラス管


1. ステンレスチューブからテフロンチューブ

 ステンレスのBA管からの接続方法は、ステンレスのチューブ継手を使用する場合、テフロンチューブ側にインサートを入れて、チューブ継手を締めます。
 インサートは、チューブ継手のメーカであれば、どこでも入手できます。
 図A はチューブコネクタ、図B はステンレスのインサート、図C はテフロンのインサートです。
 この方法は、ポンプの防振対策のチューブ側で使いました。全てのチューブがテフロンで作れば、チューブ側の防振は要らないのですが、難燃材料として金属配管を求められる場合、機能として、必要な個所のみテフロン配管としました。
 テフロンチューブとしては、テフロンの仲間のPFAチューブを使用しました。

2. テフロンチューブからゴムチューブ

 ステンレスチューブからテフロンチューブの接続の仕方と同じです。
ゴムチューブとしては、よくバイトンゴムのチューブを使用しました。バイトンチューブは試料が液の時、しごきポンプ(またはチューブポンプとかローラーポンプとかいいます)で使用します。
ゴムは色々な種類があるようですので、用途に応じて、変えられると思います。
「ガス中の液を排除する方法 1」の中で紹介した内容とは別に、ガストラップの代わりにしごきポンプを置くという方法もあります。ただ、しごきポンプにモータを使用するため、防爆の設定場所では使用できない事になります。
 テフロンチューブからゴムチューブに接続する場合、フロウエルの30シリーズとテフロンのインサートをゴムに差し込んで使用するのが便利でした。図C、図D。


3. ステンレスチューブから銅チューブ

 チューブ継手とチューブ間で異種金属は使いません。熱膨張率が違うため、温度の変化によって漏れが生じる恐れがあるためです。異種金属のため、水が介在すると電食があるかも知れません。
 ステンレスチューブから銅チューブを接続するのは、間にテーパネジを挟んで接続します。テーパネジ同士の接続の場合、テフロンのシールテープが接続か所に入るため、電食しにくいという事です。
 シールテックのスチーム用の温調弁の取合いはParker製のチューブ継手になっていた為、銅チューブと接続する時はメスアダプタ等(図E)、テーパネジに変換してから真鍮製のオスコネクタに接続、そして銅チューブに接続という方法をとりました。(図F、図G)

4. テフロンチューブからガラス管

 ガラス管を使う所で、高い圧力で使ったことは有りません。0.1MPa 以下の小さい圧力で使いました。
 テフロンチューブからガラス管という組み合わせは、流体に関する設計で一番多くの種類を扱いました。
 太いガラス配管ではEVACのNWフランジの関係を使用しました。このパイプを利用して、フィルタとか、ガスを水洗するシステム等、応用範囲が広いため、何かと重宝しました。
 このガラス菅のフランジを利用するには、ガラス用の旋盤とか持っている専門の加工業者さんにお願いして製作する事になります。
 ここからテフロンチューブを接続するためには、ガラス管に接続するフランジをテフロンの仲間のPvdf で製作して、Pvdfのフランジにメスのテーパネジを切っておけば、オスコネクタをとおして、テフロンチューブに接続できます。(図H、図I、図K)

 6mm、8mm等の細いガラス管の場合、フロウエルの30シリーズの貫通オスコネクタをよく利用しました。
 ガスを水洗する時、ガラス管の先端を水に潜らせるのが便利です。
 逆に貫通以外のオスコネクタでは使った事は有りません。ガラス管のコネクタへの差し込みの長さが短いため、抜け易い感じで不安を感じるためです。ある程度、しっかり差し込まれていた方がしっかりガラス管をホールドすると思います。図J

 600℃の炉に入れた石英のガラス管の出入口にテフロンチューブを接続した事が有ります。
この時、使用したのはフロウエルのガラス管継手です。
 この継手はテフロンとバイトンOリングのシールで構成されています。
 最初、このシステムの起動時に真っ先に壊れたのはバイトンのOリングです。熱に負けたようです。
 そこで、バイトンより耐熱性があるパーフロに変更して、取り敢えず大丈夫にはなりましたが、まだ不安があったので改造する事にしました。

 この600℃の炉は、ABBの分析計用の物で、石英管もABBから購入した物でした。改造としては購入した石英管の出入口を延長しました。さらに高温になる試料出口は途中くの字に曲げて熱が直接来ないように工夫してみました。

 この後、このシステムは、何台も出ましたが、この部分について問題は起きていません。
しかし、試料の入口、くの字に曲がっている方が出口という条件を当初決めていたのですが、二代目の上司になってから、うやむやになり、どちらが入口、出口は、どうでも良くなってしまいました。
 もともと石英管を延長する前で、大丈夫だったので、了解する事としました。

5. ステンレスチューブからガラス管

 1000℃の炉に入れた石英ガラス管の接続に使用しました。
 これは、ABBの分析計に内蔵された電気炉で6mmの石英管を太い竹輪状の炉に通す形になっていて、石英管の両端にHOKEのチューブ継手を接続するようになっていました。
 但しフェラルは、グラファイトフェラル(図N) になっていて、チューブ継手を締め付けてもガラスに負荷が掛からないようになっていました。
 実際に作業すると、継手と石英管の取付の位置が決まらず非常に難しく、大変な作業でした。

そこで、石英管に取り付けるチューブ継手の位置が簡単に決まるように、石英管に前もって溝を付ける事にしました。
 そうすれば、締め付けの時、グラファイトフェラルが溝に案内されて、うまく石英管の位置が収まるのではないかという作戦です。

 まず、溝の形を作らなくてはいけないのですが、6mmのステンレスチューブを締めた時の溝寸法を計る事にしました。(図L)
 締め付けて溝の出来たステンレスチューブを縦に半割りにして寸法を計りました。この溝と同じ形になるように、石英管に加工を施してもらいました。(図M)

 目論みは見事に当たり、石英管と継手の接続は楽になりました。
 このような方法を使用すれば接続できるという事の勉強には、なりました。

 チューブやパイプで違う材質同士の接続は、難しいと思います。
 特に電気炉に使う石英ガラスは、高温ゆえの難しさが有りました。

図A チューブコネクタ


図B ステンレス製のインサート

図C テフロン製のインサート

図D フロウエルの30シリーズ

図 E メスアダプタ

図F チューブ継手の材質


図G オスコネクタ

図 H  EVACのNWフランジ

図 I   EVACのNWフランジの接続方法

図 J  貫通オスコネクタ(ボアスルーコネクタ)

図 K   Pvdf によるフランジの製作

図L  継手の右図のように、チューブを締め込み、チューブを縦に半割りしてチューブの溝寸法を計る。


図 M  計った寸法により、石英管を加工する。


図N  グラファイトフェラル

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