熱交換器、並流の利点
今回は熱交換器の並流時を利用して良かった事例について、お話ししたいと思います。
先ずは、並流と向流の比較から。この例は、熱交換器の計算方法 4 並流のなかの計算を基にしています。
今回の件は、どうしても並流にしたい理由がありました。
今回の試料は、多量の水分を含んでいました。
今回の熱交換器は、構造的に二段式冷却をしています。まず一段目に強い冷風とアルミブロックによる冷却で一気に冷やし、残りの冷気を使ってさらに冷やすという方法を使っています。今回の計算は、残りの冷気を使ってさらに冷やすという部分の計算となります。
分析計に導入する時、この水分が邪魔なため、出来るだけ水を排除するという事が今回の熱交換器の役目となります。
試料ガスから水を、取り除く場合、基本的にに冷やすという事が行われます。もし向流で熱交換を行なった場合、熱交換器の出口側で強い冷却が行われます。
この時、試料中では多量のミスト(霧)が発生してしまう事になります。
出口側で発生したミスト(霧)は、本当は気体と液体である水を分離して、次の処理に向かうはずが、ミストが充分分離されずに、次に向かっていく可能性があります。
これを防ぐためには、熱交換器の入口側に強い冷気を持ってきて、一気にミストを発生させる。そして、出口側に向かってミストを成長させて、水滴として気体と液体である水を分離させる方法が一番良いと考えました。これが並流にした理由です。
実際この方式でお客様に納入して、今回のシステムは大当たりだと、絶賛していただきました。
このシステムはいままでの、お話しの中で出てきた二人の上司が、退職されてからなので、私の考える通りにできた数少ない成功例の一つとなりました。
もし、上司が在職中であったらと思うと、ちょっと怖い気がします。うまくいかなかったかも知れません。だいたい並流は効率が悪いと、反対の立場でしたから。
お客様の所に訪問した時に、たまに分析計が動かなくなり朽ち果てているのを見る事があります。
その度に、自分が設計して収めた分析計くらいは、こうならない様に頑張ろうと思いました。
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