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設計あれやこれや 10

 金属チューブ継手ランキング

 よく使ったのは、オーステナイトステンレス SUS316 のBA 管です。
 BA管と言われる材料は光輝焼鈍(こうきしょうどん)管とも言います。
 太さはφ6mm、φ1/4” 、φ3mm、φ1/8” の管をよく使いました。
 光輝焼鈍と言うだけあって、表面が美しく、柔らかく加工し易い管です。

 今回は、このステンレスのBA管に継なぐ継手のランキングでもしようかなと思います。
 金属のチューブ継手として、次のメーカの物を使用しました。

  HOKE
  Swagelok
  フロウエル
  イハラサイエンス
  フジキン
  Parker

 まだまだ世の中には、沢山のメーカがありますが、経験としてはこれだけです。その中でダブルフェラルとか2圧縮リング方式といわれる二つのフェラルを用いた方式の継手を使用しました。
 2圧縮リング方式は、高圧ガス保安法の中で毒ガスでも使えるという事です。

 世の中では、どうもSwagelok社が基準のようで総て、という訳では無いと思うのですが他のメーカはSwagelokと互換性を謳っている場合が多いです。

 ですが、さすがにSwagelok社は他社との互換性は認めていません。
 1番の継手メーカという事なんですかね。

 その互換性という点についてParkerの営業マンが来た時、面白い技術情報を見せてもらった事があります。
 Parkerの継手は、Swagelokの継手とともにアメリカのNASAで標準的に使用されている継手だという事です。
 継手は本体の他に、その本体に取り付ける共通部品として、ナット、リアフェラル、フロントフェラルの 3部品で構成されます。
 NASAでParkerの継手とSwagelokの継手を使用していくうちに、この 3部品が混ざってしまう事が度々あったそうです。

 そこで、Parkerの継手とSwagelokの継手の3部品を混ぜた状態により、NASAで漏れテストを行った所、100% 漏れ無しで、問題が無かったという事です。

 私の部署で一番多く使用したのは、HOKE の継手です。ABBの分析計を扱っていた為ですが、分析計の中で使われている継手はHOKE でした。
分析計を発注する時、Swagelokを選ぶ事も出来ますが、Swagelokの指定が無ければ、HOKEになるというシステムです。
 サンプリング装置等の組立は、組立業者さんに組んでもらうのですが、その時に使用するチューブ継手は、ほとんどHOKEです。
ただお客様の要望等で、別のメーカの継手を使う事も有ります。

 イハラサイエンスの継手を使用するきっかけは、一度イギリスで、アナライザハウスを製作する機会が有ったのですが、その時イギリスの組立工場で、日本には、こんなに良い物が有ると言って紹介されたのがイハラサイエンスの継手でした。
 そのイギリスの工場では、イハラサイエンスの継手を標準で使用しているそうです。

 私の会社でも、イハラサイエンスの継手を標準で使用している部署が1カ所、有りました。
 上司は、灯台下暗しであったと早速、次の仕事で使う事になりました。

 実際に使用した評価は、組立作業は概ね良好という事です。ただ1/2” とか、太い配管は難しさがありました。しかし性能的には問題無いという評価でした。
 しかし、作業者が使い慣れているHOKEやSwagelokを好むという事と、ABBの分析計で使用されている継手がHOKEなどの点から、元に戻りました。

 次に私の部署での継手の評価をしてみたいと思います。


 ランキング1位  HOKE

 継手を締め込む時の感覚が、他の継手に比べて秀逸である、継手を締め始めてから、締め終わる所までの手の馴染みが1番良いという事です。使い勝手が1番という評価でした。


 ランキング2位  Swagelok

 当初、HOKEと同じ手の馴染みが良く、ランキング的には1位だったのですが、ある時を境に継手の締め終わりに急に硬くなるという感覚が出てしまった、という事で2位としました。
 Swagelok社の公表はありませんが、Swagelok社で性能向上とかの理由で熱処理の方法とか変更しているのかも知れないと組立作業の方と話した事があります。


 ランキング3位  フロウエル、イハラサイエンス、フジキン、Parker

 残りは同率といった所です。会社全体では、フロウエルのテフロン継手を標準で使用しています。
 金属の継手を使う時は同じメーカで、という理由からだと思うのですが、私の部署以外では割と良く使われています。

 イハラサイエンスの継手は、締め込み感覚について実際に組立作業している方に聞いてみると、締め込む時の感覚が柔らかめという事でした。

 フジキンは、お客様が標準継手として使われていて、お客様の要求仕様という事で使った事が有ります。
 私がこの仕事を担当する以前、テーパネジに不具合があった事が有るという話しは聞いていますが、私が担当してから一度も、そういう事は有りませんでした。

 Parkerは、スチームの温調弁を購入すると付いてくるコネクタです。3/8” のチューブ継手のみです。Parkerは、ボルストンフィルタでお世話になっています。

 総括として、どこのメーカのチューブ継手を選んでも、性能的に問題が有るわけではありません。どこでも、お気に入りを使用すれば良いと思います。

 コスト的には、どこを使ってもという感はあるのですが、世界のSwagelokという自負があるからなのかなと思うのですが、大量に継手を使う場合、Swagelokさんは、余り値引き交渉に応じて頂けないですが、他のメーカですと、結構応じて頂けるようでした。

 今回のランキングは、組立作業者、それも私の周りの人、数人に限ったランキングです。
 余り参考にはなりませんね。
 悪しからず。

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