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不調の原因はいつだって「感覚過敏」

大嫌いな満員電車。

座席を確保しないと潰されて四方八方を塞がれ、
好きでもない人と密着しないといけない。
それがすごく嫌なので、始発の電車ばかり選ぶ。
席を譲るために立ち上がれなくてごめんなさい。

せっかく座れても、
おしゃべりな人が周りに乗ってきたり
隣の人がゴソゴソかばんの中を探るときにつんつんぶつかってくる肘であったり、
前に立っている人が履いているスカートの裾やコートの裾、長傘の端っこなどが膝に触れることが耐えられない。

コロナ禍においては、マスクが顔に貼り付いている感覚がどうしても辛かった。顔にものがくっついている状態も、自分の吐いた息が跳ね返ってくることも、本当に本当に気持ち悪くて耐えられなかった。

耳栓は耳が痛くてあまり好きではないし、
そもそも「人の声」以外の雑音をカットしてしまうため、最も嫌いで聞きたくない「人の声」がピックアップされたような状態になってしまう。すべての音をカットしてほしい。

ノイズキャンセリングのイヤホンで音楽を流すと
音楽に圧倒され、疲れる。「流し聴き」が難しいので、いちいちこの音はキュンとするだのこの音の構成音はなんだろうとか「あの人ならこの曲すぐに弾けちゃうだろうな、私には弾けないけど……」なんて思ってしまったりする。(歌モノは「CDをリリースできるくらい売れている歌手」というライバルを意識させられて苦手なので、聴くにしてもインストじゃないと厳しい)

音楽をかじらなければ、
バンド活動なんてやらなければ、
コンビニの有線で流れてくる歌手に対して恨みの気持ちなんか抱かなくて済んだのかな。


大嫌いな満員電車さえ我慢できれば、
職場に着いてさえしまえば8時間は静かだった。
1月の末までは。

2月になり、事前に知らされてもいないのに
「今まで使っていた部屋は使えなくなりました」
突然の立ち退き命令を言い渡され、コールセンターの人と同じ部屋で仕事をすることになってしまった。いつまでこの状況が続くかはわからない。


絶えず聞こえる電話の声。
20人くらい詰め込まれた狭い部屋の中で、もともといたメンバーたちはあちこちで相談や情報共有、雑談などをしている。昼休みでさえも、声が途切れることがない。

いろんな人がマウスのホイールを叩いて遊ぶようにガシャガシャしたり、鼻をすすったり、貧乏ゆすりをしていたりする。


無理だ。無理すぎて涙が勝手に出てくる。


人の話し声が辛くて耳栓を手放せない、耳が痛い。

コールセンターの人は、私の大嫌いな電話対応を全く嫌がることもなく、にこやかに感じよくこなしている。

耐えられない。
満員電車も電話対応も無理ですぐキレる私が、
とんでもなく心の狭いクズに思えてくる。


電車の中に子供が乗ってくると、声が苦手すぎて睨んでしまう(そしてそそくさと車両を移ってしまう)。

バイトで接客業をしたときは、お客様の来店に対して心の中で「忙しいのに来るんじゃねえよ」と悪態をついていた。自分のペースを崩されることがあまりにも許せなくて、笑顔なんか作れなかった。

会社で電話番をさせられそうになったときは、
ありったけの熱意で「嫌です!!」とキレた。
嫌いな仕事を押し付けられて病むなんてバカバカしいもん。病んでも責任取ってくれないし。

過去にも、受付の仕事でキャパオーバーになり
お客様のスマホを(目の前ではないものの)ぶん投げてしまったことすらある。その仕事も4ヶ月しか続けられなかった。


これまで快適に働けていたのに、
事前連絡もなく突然環境を変えられたことに対して、怒りがおさまらない。こんなの「わかりました」と言ってさっさと適応してしまえればどんなに楽だろうか。

画面越しに、向かいあわせの人の顔が見えるのも私にはすごくつらい。後ろに人がいて自分の画面を覗き込まれるのも、どんなにやましいことが何もなくても、ものすごく本当に嫌だ。


こんな自分だから、フルリモートで働けるようになりたくて、「研修期間が終わったらフルリモート可」の会社に入ったはずなのに。

私よりあとに入社してきた人が、
どんどんスキルや勉強量で私を追い抜いていく。

私は勉強したい気持ちがあっても、
冬は特に体が疲れて帰ってから何もできない。
もどかしいけど、本当に何もできない。

頑張らないと永遠に感覚過敏で苦しむ羽目になる。なのに、頑張れない。死にたくなってしまう。

人口密度の高い東京が合わないんだろうなと思って運転免許をとったりもしたけど、運転も下手だった。ものすごく怖い。


お金持ちになりたいなんて言わない、
必要最低限、食べて安全に暮らせればそれでいい。

しかし、感覚過敏の「最低限」は決して一般的な最低限ではないのだ。とにかく贅沢なのは自覚しているけど、耐えられるハードルが高すぎる。そうなるとやっぱりお金が必要になってしまう。


私はただ、静かに暮らしたいだけ。
音のない空間でマイペースに暮らしたいよ。

つらいことを強要されたくないだけ。
知らない人たちに揉まれたくないだけ。
うるさくない場所で落ち着いて過ごしたいだけ……

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