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つばめ

つばめを見かけるようになると、いよいよ春を実感する。子供の頃から海の生き物は好きだったものの、もともと鳥にはあまり興味がなかった。興味がなかったので、街には日々色んな野鳥が飛来していることにさえ気づいていなかった。書いていて思い出したことだが、つばめをつばめとして認識したのは幼馴染であるゆいちゃんの自由研究だった気がする。そこからなんとなく目につくようになり、やがてよく観察するようになった。


さて、私が隣町から今の家に引っ越してきてもう十数年経つ。高校一年から通学が電車になったので、毎朝最寄駅まで歩くのもかれこれ十年以上になるが、その道のりにつばめが巣を作りに来る場所が数か所あった。最初は低空飛行する鳥に恐れ慄き(私は自分の一挙手一投足でどうにかなりそうな小さな命が恐い)、大人になるにつれて、今年も来たねウフフと毎年楽しみに店舗の軒下を確認していた。そんな場所があったのだ。

あった、というのも昨年秋、つばめ出没スポットの一ヶ所である建物が火事で焼けてしまったのである。幸い死者は出なかったが、火元だけに留まらず隣数軒のテナントまで火の手は伸びた。翌朝通り掛かると見慣れた古い建物は見るも無惨な姿で、呑気な地元にとってはセンシティブな事件だった。建物はその後すぐに取り壊されてしまい、数ヶ月経った今も空き地のままだ。


今朝いつものように建物があった場所を通ると、空き地の地面にちょこちょこと数羽のつばめがいた。

かわいい 近くで見ると小さい

つばめはあまり地面にいるイメージの無い鳥だったので初めは不思議に思ったが、(もしかして生まれた巣のある建物に帰って来たのでは……?だとしたらなんと哀れな……)と思いながら通勤ルートについた。電車に乗ってすぐに調べてみると、

毎年同じように巣に戻ってくるツバメですが、意外と同じツバメが同じ巣に戻ってきている訳ではないようです。同じ巣に戻ってきても寿命が短いため、パートナーの片方が命を落として入れ替わることもあり、いつの間にか違うツバメになっていることもあるようです。

参照:松本市HP

巣づくりの時期のツバメは、オス・メスのペア(つがい)が協力して、空き地や公園の水たまり、土手などの泥を口に含んで持ち帰り、人家の軒先などに泥をはり付けて巣づくりします。

参照:横須賀市自然・人文博物館HP

巣の材料の調達だった。
なんだか拍子抜けしたが、思いすごしで安心


自然は私が思うよりずっとたくましいのだ。

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