昔のこと

セーラー服の内ポケットに小さいMP3を入れて通学していた。重苦しい校舎に飛び込むまでの、往復の通学路で聴く音楽と、わたしは今アウトローなのだというちょっとした優越感だけがあのころ、 わずかに自分を救っていた。
練習は心から嫌だったけど、夕方には土埃で濁る空気が透明に冴えた朝のグラウンドのことは好きだった。

練習内容の振り返りと気づきを顧問に提出するノートに、その日の体育館がいかに寒かったか とか、体育館の扉の外を見ていて思ったこと とかを本気で書いていたような13歳から、ほとんど変わらずそのまま大人になってしまったように思う。顧問からの「明日は寒さが無くなるくらい動こう!」という返事の意味が当時は本当にわからなくて、まあ実際試合出ないんだから動こう!も何もない、今思えば顧問とも周りの友だちとも何もかも噛み合ってなかったし、部活に行こうとしたら頭痛が起きた。

大人になった私は170cmと女性にしては長身で、中学はバスケ部と話すと一応皆は腑に落ちるようだが、じっさい一応バスケ部というだけ、死ぬほどサボっていた。クリスクロスというメニューが大嫌いだった ボールを投げた方向の逆に走ると言うけど端の時はどう動けばばよかったんだろ?

あのとき私どうすればよかったんだろうね 何に対しても苛立っていて頭も心もボールの軌道みたいにグチャグチャだったあのとき

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