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彫師という職業と覚悟。〜革命の夜明け①〜

ついこないだ、僕は
ある彫師さんに珍しいタトゥー施術をお願いした。

刺青彫師という職業に関わらずの事だが
人の作品を見るのも勉強のひとつだ。
こんな風に表現すればいいのかとか、
こうすればカッコいいのかとか
こういうものが流行ってるのかとか。

それは、インスタなどのSNSであったり
彫師の仲間から、
お客さんから教えてもらう事もある。
そんな中たまたま何気なく見たもので
凄く衝撃的な作品に出会った。

その彫師さんのあるジャンルの作品を
見てからというもの頭の片隅から離れず
とりあえず、自分の分かる範囲で
自分の左足に施術してみた。
少なからず、彫師というのは
そういう生き物だと思う。
そして案の定、失敗した。上手く彫れない。
失敗は成功の元。だから大成功だ。

今よりもっと上手くなりたいという向上心は
彫師をしている者には、
標準装備されているもので
技術はともかく、その向上心だけは
僕は人一倍あると思う。
とにかく、その彫師さんに聞けばいいじゃん。
迷わず連絡を取り、すぐ様行動に移した。
そして、その彫師さんに彫って頂く機会を得た。
目の前で技術を盗むチャンスだ。
今回の経験で、たくさん気付かされた事があるので
忘れないように久々にノートを開いた。

その彫師さんが
そこ(今の技術)に辿り着くまでの努力、
より高みを目指すスキルアップの為の犠牲、
これからそれに賭け生き抜く人生を時間を
どれだけ、どこまで刺青に費やせるか。
そして費やしたからこそ
勝ち得た結果。
信念、覚悟ありとあらゆる部分で
いかに自分の覚悟との違いの差を
見せつけられたか。
それは、道具一つとっても、
効率や結果どれをとっても
クオリティーに直結するように
導線がデザインされている。

僕はどこかで彫師はお客さんを
喜ばせる良いものを彫れれば
それで良いと
それが全てだと思っていた。

間違ってはいない。
料理人は、
すごく美味しい料理を作ればいいし
清掃業者は、
早く確実にその場所をキレイにすればいい。
カメラマンは、
ニーズにあった最高の写真を撮ればいい。
プロと呼ばれるという事は、
その対価に対して
お客さん、依頼主、発注者を
喜ばせる満足させる納得させる
それに尽きると思っていた。

彫師は、施術中肌に与えるダメージを
必要最小限に抑え
(無駄な痛みを与えない色飛び防止の為、
その他etc)
その箇所、デザインに、
適切な針を選び、適切な深さに針を刺し
適切なインクを使い
お客さんが納得する最高のデザインを
寸分の狂いもなく早く仕上げる。
その作品が永くキレイを保つようアドバイスし
お客さんが満足する作品を作る。
それが良い彫師だと決めつけていた。

間違ってはいない。
そう1ミリも間違ってはいないのだ。

お客さんが満足するのは当たり前で
その彫師は何より自分が満足する作品を作っていた。

ただ今回経験したのは、
道具や施設にお金をかけるのはもちろんの事
例えば、ほんの些細な事
施術中の針の洗浄一つ取っても
膨大な手間、お金をかける。
全ては作品、その一点の為だけに。
神は細部にまで宿るとは
まさに的を得た言い方で
動画撮影の際は、どのように撮れば
作品が最高のパフォーマンスに見えるのか
その為にカメラアングルまで
考えた彫り方をする。
難しい体勢でもそれでも手元は
最高のパフォーマンスをするべく
確実に仕留めていってる。
全ての導線を考えて考えぬく
写真の撮り方一つ取っても
このデザインなら光の当て方はこうだ。
角度を変え、ポーズを変え、背景を変え
何枚も撮る。
別にブレたり変な映り方が
したは訳ではない。
全然キレイに撮れている。
ガチガチ加工などするわけないが
まるで奇跡の一枚を狙うのかごとく。
とことんまでこだわりぬく。
作品にプライドがあるからこそ
最後の最後まで、その作品を見届ける義務があると
言わんばかりに。
衛星管理から、その為の勉強一つとっても
その行動原理全てに執念のニオイがする。

それもこれも全ては作品の為。
それだけのクレイジーと
呼べるほどの鬼気迫るモノを感じた。

そして血の滲むような努力の結晶を
目の当たりにした僕は、
この機会を逃すまいと失礼を承知で
疑問をぶつけまくった。
普通なら、絶対に教えたくないと思う。
汗水垂らした努力の結果を教えるハズがない。
しかし、それを事細かく丁寧に解説してくれた。
聞いてるこっちがなんで?と思うくらいに。
本当に彫師としても人としても
凄く器量が大きい方だと思った。

さぁ明日からもっと死ぬ気で生きていこう。
あの人には追いつけないかもしれないが
僕にどれだけ早く登れるか
どこまで登れるかわからないが
その高みの景色を自分自身のチカラで
見たくなってきた。

今回の体験で、
タトゥーの技術などの勉強はもちろん、
本当に貴重な体験をさせて頂いた。
そして、それ以上に
信念や覚悟のような勉強になったと思う。

この感謝の気持ちを
これからの僕の作品に反映する形で
恩返ししていきたい。

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