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aiko「カブトムシ」の歌詞に男だけどガチ目に感情移入してる

まえがき

ちょうど1ヶ月ほど更新をサボっていました。
ただの言い訳ですが、1月末から現場が忙しすぎてですね・・・。

・1/29(日)→ リスアニ!LIVE 2023
・2/5(日)→ TrySail単独
・2/12(日)→ オダイバ!!超次元音楽祭

特にリスアニ!LIVE 2023では、1人目のKOTOKOが老人を殺す電波ソングメドレーをいきなり叩き付けて来て初っ端から体力を削られ、大トリのClariSはClear Skyを歌ってくれるし青い銀テープだし本当に近年稀にみるレベルで情緒を使い切った1日でした・・・。

そんなこともあってブログを放置していましたが、2/12(日)を最後に現場も当分無くヒマになってきたのでボチボチ執筆していきたいと思います。

というわけで、プロフィールに載せてるのにまだ1記事も書いてないアーティストをなるべく消化していこう、という感じで当分進めたいと思います。

今回はaikoさんの冬の名曲「カブトムシ」です。
冬のうちに書こうと思ってたのにずっと放置してたので、2月末に滑り込みでねじ込みました笑

曲紹介

作詞・作曲: AIKO 編曲:島田昌典

1999年11月17日発売の4枚目のシングル。
誰もが一度は耳にしたことがあるaikoさんの代表曲ですね。
歌詞云々の前に、歌声・メロディー・編曲だけでも素晴らしい名曲です。

歌詞

この曲がどういうシチュエーションなのかは色々な解釈があると思うんですが、筆者は「自分からプロポーズする直前の女性の心境」と解釈してます。
恋愛ソングの定番曲と言われることが多いこの曲ですが、「女性からのプロポーズ」だとすると結構珍しいシチュエーションを扱ってるのではないでしょうか?(あくまで筆者の解釈ですが)
では、いつも通り筆者がそう解釈した理由を書きながら歌詞の詳細を見ていきます。
※歌詞は歌ネット(https://www.uta-net.com/song/12170/)からの引用

1番Aメロ・Bメロ

悩んでる身体が熱くて
指先は凍える程冷たい
「どうした はやく言ってしまえ」
そう言われてもあたしは弱い

あなたが死んでしまって
あたしもどんどん年老いて
想像つかないくらいよ
そう 今が何より大切で…

スピード落としたメリーゴーランド
白馬のたてがみが揺れる

「指先は凍える程冷たい」なので、場面は冬の屋外みたいです。
何かを言おうとして悩んで熱くなっている頭・身体と冷たい指先の対比で、主人公の体温や感じている気温が聴いてるこちらにも伝わってきそうです。

「どうした はやく言ってしまえ」は主人公自身の心の声でしょうか。
心の中で早く言ってしまいたい自分と言えない弱い自分が葛藤しているように聴こえます。

少し脱線しますが、冒頭の身体と指先の描写は個人的にとても好きです。
以前「ウソツキ」の記事でも書いたように、歌詞の主人公の五感情報を序盤で描写してくれるタイプの詩をどうも筆者は好きになりやすいようです。

丸山さんの歌詞で特徴的なのが、曲の序盤でこういう季節感や時間帯、主人公が感じてる五感情報(風景・温度・音など)を描写することですね。
筆者の個人的な感覚なんですが、こういう情報を序盤に描写してくれると、曲の主人公への没入感が高まって歌詞の世界に深く入りやすい気がします。

「ウソツキ」の記事から抜粋

話を戻して、この主人公は何を言おうと悩んでいるのでしょうか?
それを示唆する内容が次の「あなたが死んでしまって~今が何より大切で」の部分ですね。

いつか、あなたが死んでしまって私だけ1人取り残されるかもしれない。
わたしもどんどん年老いておばあちゃんになっていくのかな。
女性の方が平均寿命長いから、自分の人生の最後の数年はあなたに先立たれて1人孤独に生きていかなきゃいけないのかもしれない。
なんだか、遠い先のこと過ぎて想像付かないな。
だって、今あなたと一緒にいられるこの瞬間が何より大切だから・・・。

筆者は勝手にこんな心情なのかなと思いました。
ここだけ聴くと「あなたと生涯一緒に居たい」って言おうと悩んでるように聴こえます。

次の疑問は、これがただの告白(まだ付き合ってない)なのか、プロポーズ(もう付き合ってる)なのかです。

次の歌詞は「スピード落としたメリーゴーランド 白馬のたてがみが揺れる」
どうやらこの2人は冬の遊園地に来ているみたいです。
メリーゴーランドに2人で乗っているのか、ベンチとかに座りながらメリーゴーランドを観ているんでしょうか。
良い雰囲気でデートしてますね。でもまだ付き合ってるのかどうかはハッキリと分かりません。

では、それが明かされるかに注目してあの有名なサビに移りましょう。

1番サビ

少し背の高いあなたの耳に寄せたおでこ
甘い匂いに誘われたあたしはかぶとむし
流れ星ながれる 苦しうれし胸の痛み
生涯忘れることはないでしょう
生涯忘れることはないでしょう

誰もが聴いたことのある有名なサビですね。
「少し背の高いあなたの耳に寄せたおでこ」なので、あなたの耳元にあたしはおでこを寄せています。
これ、どんな体勢でしょうか?

筆者は後ろから抱き着いてると思いました。メリーゴーランドに2人乗りしてて、彼の背中に後ろから抱き着いて耳元におでこ寄せてるのかなと。
でも、調べてみたらほとんどの遊園地でメリーゴーランドって大人の2人乗り禁止みたいですね。小さい子供と付き添いの大人の2人乗りのみOKって所が多いみたいです。(陰キャ特有の遊園地・デート経験の少なさがバレる

となると、これはメリーゴーランドを降りた後(「スピード落とした」なので、乗ってたメリーゴーランドが止まっていって降りたのかも)、もしくは最初から乗らずにメリーゴーランドを見ていた時なのかもしれません。
ベンチで隣に座ってる彼にもたれ掛かって、彼の肩の上の耳元くらいに自分のおでこが来ているような感じでしょうか?
少し背の低い彼女が隣にいれば実際にその体勢になるか検証してみたいところなのですが、残念ながらそんな人はおらず部屋で1人怪文書を書いている寂しい独身男性なので・・・(´;ω;`)

まあ、これが前・横・後ろどの体勢なのかは正解を決めなくても個々人が好きに想像していいのでしょう。

で、「甘い匂いに誘われたあたしはかぶとむし」
筆者はこの表現のせいで後ろから抱き着いているイメージが消えません。

男性の(女性から見て)大きな背中を「大樹」に例えるのは比較的良く見る表現な気がするのですが、「大樹(背中)にピトって抱き着いて甘い樹液(耳元の匂い)に引き寄せられているあたしはカブトムシみたいだな」っていう表現に聴こえるんですね。
なんか、夢中で抱き着いてる自分の滑稽さを俯瞰して自嘲的に見てる目と、それでも抑えきれない気持ちが表れてて凄く良いなと。

この歌詞を「キュンとする」「あざとかわいい」ってシンプルに捉えてる人も多いらしいんですが、余裕の無い自分を滑稽だなと思う諧謔さとか、あなたの前でだけはそんな自分の弱さも見せたいみたいな切なさも凄く感じるので、あんま一言で簡単に片付けないで欲しいな!と厄介な歌詞オタクとしては思います笑

男性の耳の下の匂いにフェロモン感じる女性って一定数居るみたいですね。一説によれば、女性の方が匂いが記憶に残りやすくて女性が書いた歌詞は恋人の匂いの描写がよく出てくる、と作詞家のzoppさんがテレビ番組で語っていましたが、これもその一例でしょうか。

この時点ではまだ言いたいことは言えてない状態なんですよね。
ようやく言おうと決心して彼に身体を寄せて、それを応援するかのように「流れ星ながれ」て、自分がこれから言う願いもきっと叶うかなって少しだけ勇気づけられる。
さあ、今から言うぞっていう瞬間の不安とドキドキが混じった「苦しうれし胸の痛み」を「生涯忘れることはないでしょう」。

言った結果がどうなったのかは結局分からないままですが、きっと良い結果だったんだろうなとなぜか自然に思ってしまいますね。

「ただの告白(まだ付き合ってない)なのか、プロポーズ(もう付き合ってる)なのか」問題は決定打が無いですが、ただの告白にしては既に二人の距離感がだいぶ近いし、「あなたが死んでしまって~今が何より大切で」もあってなんかだいぶ将来のことまで考えてそうなので、告白じゃなくてプロポーズなのか?と個人的には感じてしまいます。

2番Aメロ・Bメロ

鼻先をくすぐる春
リンと立つのは空の青い夏
袖を風が過ぎるは秋中
そう 気が付けば真横を通る冬

強い悲しいこと全部 
心に残ってしまうとしたら
それもあなたと過ごしたしるし
そう 幸せに思えるだろう

息を止めて見つめる先には
長いまつげが揺れてる

最初の4行の春夏秋冬の表現が、とても端的かつ的確に四季が表現されていて本当に素敵です。
そんな風にあなたと季節を過ごしていく中で強く心に残ってしまう悲しい出来事も、あなたと過ごしたしるしと思えば幸せに感じられるだろう。
「あなたとケンカしたりすれ違って傷付け合ったり、いつか死別して耐え難い喪失感を覚えたとしても、それもあなたと生きたしるしならあたしは喜んで受け入れる」みたいな気持ちを勝手に感じてしまいます。
(ここも筆者がプロポーズ感を強く感じる一因です)

なんていうか、女性って強いですよね。
理屈とか先のこととか云々を抜きにして、「今自分がこうしたい」って思ったことのためなら全てを投げ出す覚悟があるっていうか。
男性より女性の方が結局強いなって時々思ってしまいます。

「長いまつげが揺れてる」も良いですよね。
1番の「少し背の高い」やこの後の「少し癖のあるあなたの声」も含めて、彼の特徴を描写してくれると主人公が見ている映像を共有できて詩に感情移入しやすくなります。

そんな彼を「息を止めて」見つめてるっていうだけで、主人公がどれだけ彼を好きなのかヒシヒシと伝わってきます。
筆者もライブ会場で推しを見てると時々尊すぎて呼吸忘れそうになる時があるので、この感覚はとても良く分かります(?)

2番サビ

少し癖のあるあなたの声 耳を傾け
深い安らぎ酔いしれるあたしはかぶとむし
琥珀の弓張り月 息切れすら覚える鼓動
生涯忘れることはないでしょう
生涯忘れることはないでしょう

そして、ラスサビとなる2番サビ。
場面は恐らく1番と同じで、彼に想いを伝えようとする場面だと思います。
もしかしたら、想いを伝え終わって彼が返事を喋っている時(少しだけ1番から時間が進んでいる)なのかもしれません。

「少し癖のあるあなたの声耳を傾け 深い安らぎ酔いしれるあたしはかぶとむし」は彼の返事(YES)を聴いて心の底から幸せを噛み締めてるとも捉えられますね。
想いを伝える前に彼の声を聴いて安心感を覚えてるって解釈もありますが。

1番の「流れ星ながれる」も2番の「琥珀の弓張り月」もですが、人生の節目になるような大きな出来事の時ってふと目に移った景色が妙に印象に残ることってないでしょうか?
この主人公も別に意識して空を見上げたわけじゃなく、ふと目に入った空の流れ星や月が記憶に焼き付いたんだと思います。
筆者も何度かそういう経験があって「なんでこんな大事な時に、こんなどうでもいいことが妙に気になるんだろ?」って毎回不思議に思います。
なので、この部分は妙にリアリティを感じて好きです。

そんな空の景色も「息切れすら覚える鼓動」も「生涯忘れることはないでしょう」。
何を話したのか、どういう答えだったのかは何も語られないですが、主人公の心の動きや葛藤を通じて、聴いた人が同じ気持ちになったことがある色々な体験を自然と思い浮かべられるような余白になっている気がします。

こういう「聴いた人が自分のエピソードを入れられる余白」が適切にあるのが普遍的な歌詞なのかもしれませんね。

あとがき

・普通の告白とも捉えられますが、筆者はプロポーズと解釈しました
・歌詞抜きにしても名曲なので、サビしか聴いたことない方はぜひ一度フルで聴いてみてください

本当はもうちょっと音楽面でも色々書きたかったですが、久々過ぎて書く体力がだいぶ鈍ってますね・・・。
ちょうど5000文字くらいでもうヘトヘトなので今回はここまでです。
aikoさんは語りたい名曲が多すぎるので、またそのうち書こうと思います。

では、今回も読んで頂きありがとうございました!

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