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ClariS「ねがい」で新年が更に暗くなる

まえがき

前回の「ウソツキ」に引き続き、今回も1000PV記念企画「読者の皆様からリクエストされた曲で記事を書いてみよう!」の第2弾です。

ありがたいことに複数リプをもらい、以下3曲を採用させて頂きました。
①ClariS「ウソツキ」
②ClariS「ねがい」
③ClariS「ループ」

前回記事より

今回は②「ねがい」を紹介していきます。

曲紹介

作詞・作曲・編曲:丸山真由子

20枚目のシングル「CheerS」(2018年8月15日発売)のカップリング曲。
重ねて言いますが、丸山さんだから選んだのではなくリクエストですよ!
話題となったアニメ「はたらく細胞」のEDとして起用された明るくポップな表題曲CheerSのカップリングなのに、またもや丸山先生はとんでもない失恋曲をぶち込んできました。
はたらく細胞がキッカケでClariSに興味を持った新しいファンに「ふふふ、ClariSってこういうアーティストだよ?(ニッコリ)」と洗礼を浴びせてるんですかね・・・。

歌詞

はい、これまた暗~~~い失恋曲です。
特に考察が必要な難解な描写があるわけではなく、ストレートに過去の夏の記憶が切々と語られていきます。
逆にだからこそ歌詞の主人公の心の痛みがストレートに伝わってきて、より暗さが強調されている感すらありますね。

何より、曲調が暗い!
ClariSで初めての3拍子、おまけにマイナーキー。
もう出だしからダークゴシックファンタジーでも始まるのか!ってくらいの暗く重い曲調。CheerSからの落差が凄いよ・・・。
(初めての3拍子曲で曲名も「ねがい」の3文字なのはただの偶然なんですかね?狙ってたら凄い)

というわけで、いつも通り歌詞を見ていきましょう。
※歌詞は歌ネット(https://www.uta-net.com/song/253844/)からの引用

1番Aメロ・Bメロ

忘れられない 初めての恋
髪を揺らしたそよ風に 夕立の気配
あの日も君と 2人並んで
雨宿りした帰り道 まだ止まないで

Ah 雨音が小さく消えてく
Ah 言いかけて飲み込んだ言葉

「忘れられない 初めての恋」
この文だけなら甘酸っぱいのか辛いのかは本来まだ未確定なんですが、前述した通り出だしからの暗い曲調で「あ、きっと辛い失恋の記憶なんですね・・・」ってもう充分すぎるほど伝わってます。
逆に、曲調で充分伝わってるので変に歌詞で失恋だと強調しなくても良い、とも言えます。
普通なら曲の出だしってまず前提となるストーリーとか背景を伝えたい所だと思うんですが、曲調で充分伝わるので歌詞はあえて具体的にしなくても良いっていうのも面白いですね。

「髪を揺らしたそよ風に 夕立の気配」
ある程度の髪の長さがある女の子(歌詞の主人公)の髪が揺れた映像と吹き抜ける風の感覚、夕立が降る前の夏の夕方の湿度と匂いまで感じてきます。

「夕立」って言葉とても経済効率が良いですね。
季節(夏)も時間帯(夕方)も空気感(湿度)も伝わりますし、筆者の個人的な感覚ですが夕立が降る前って独特な匂い(多分湿度が上がったことに関連する?)がする気がしていて、「夕立の気配」という言葉がとてもしっくり来ます。
前回の「ウソツキ」でも触れましたが、歌の序盤で季節感・時間帯・五感情報を描写してくれる丸山さんらしい表現だと思います。

夕立は、夏の午後に降る雨のことです。夕立の仕組みは、夏の強い日差しで地面付近の湿った空気が暖められ、上昇してできた積乱雲などから降ります。
積乱雲は入道雲とか雷雲と呼ばれるもので、長くても1時間程度で消えてしまいます。このため夕立の特徴としては、ザーっと強く降って止んでしまうものが多くなります。
また、積乱雲は、雲の高さは高くなりますが、面積はせまいので雨の降る場所と降らない場所がはっきりとわかれていることが多いです。夕方に降ることが多いのは、午後になって地面付近の気温が高くなると上空の気温との差が大きくなって、上昇気流が起こりやすくなるためです。

気象庁ホームページから引用(https://www.jma.go.jp/jma/kids/kids/faq/a1_04.html)

「あの日も君と 2人並んで
 雨宿りした帰り道 まだ止まないで」
君と過ごした過去の夏で、同じような夕立の中を一緒に歩いて帰った記憶を思い出しています。
どこかで雨宿りして、多分周りに人が少ない場所で2人きり。
ずっとこのまま2人きりでいたいという気持ちから「まだ雨が止まないで」と願いますが・・・。

「Ah 雨音が小さく消えてく
 Ah 言いかけて飲み込んだ言葉」
無情にも夕立はすぐに止み始め、2人きりの時間は終わってしまいます。
想像ですが、「お、止んだ。行こうか?」と君に声を掛けられて「・・・う、うん・・・」と言いかけた言葉を飲み込み歩き出す主人公。

いやさぁ、なんで雨止んじゃうの・・・。
お天道様もっと空気読んでよ・・・。

もしあと15分、いや5分でも夕立が続いていたら。
2人きりの状況が続いていたら。
この主人公は想いを伝えられたんじゃないかと思うと・・・。
神様、残酷過ぎるよ・・・。

というか、自分でもそう思ってるから思い出すわけですよね。
「もしあの時もうちょっと雨が長引いてたら・・・そしたら言う決心が着いたのかな・・・」ってず~~~っと引きずってる。
あの夏がディレイ(ディレイディレイ)ですよ!

1番サビ

もし君に好きだよと言えてたら 今もまだ
思い出じゃない場所で その心 触れられたのかな?
I wish… ねがいごと ひとつだけ

結局、好きと言えないまま離ればなれになってしまいました。
もう彼には思い出の中でしか会うことはできません。
「君に想いを伝えたかった」それだけがただ一つの主人公の「ねがい」

・・・暗い、暗いよお。
しかも、両想いだったって確信があるわけでも告白が成功する自信があるわけでも無いんですよね。
「触れられたの『かな?』」なので、全部仮定の話です。
次の行が want じゃなくて wish なのも余計に仮定法感を強めますね。
それがまた切ないというか。

告白してハッキリ振られたなら諦めも付くけど、告白しないまま終わってしまったので「もし伝えてたら、もしかしたら・・・」っていう僅かな希望が頭にこびりついて離れない。
主人公を縛る呪縛になってしまっています。

2番Aメロ・Bメロ

高鳴る鼓動 隠すみたいに
強くなってく蝉しぐれ まだ焼き付いて

Ah 夢のような時間は一瞬で
Ah この手には届かない幻

主人公の胸の鼓動が高鳴る音を隠すように、蝉の鳴き声がどんどん強くなっていく。その音が耳に焼き付いて今も離れない。
この場面が1番の夕立が止んだ直後のことなのか、別の夏の日なのかはハッキリとは断定できません。

まあでも、1番の続きって考える方が自然なんですかね?
夕立(雨の音)が止んで、晴れた夕方の空に蝉しぐれの音が強まっていく。
言いかけた言葉を飲み込んだ主人公の心は激しく揺れ動いて、心臓の鼓動は高まっていく。
「夢のような時間は一瞬で」もさっきの雨宿りしてた時間(あと、彼と過ごしたこの夏の日々)だと思いますし、1番と繋がってると捉えるのが素直な気がします。
「この手には届かない幻」って、なんか夏っぽいなって感じますね。
夏空に高くそびえる入道雲とか、夏の逃げ水・蜃気楼とか。
歌詞の景色と心情が両方伝わってくるような気がします。
いくら手を伸ばしても、あの夏には触れることはできない・・・。

2番サビ

ただそばにいられれば良かったの 今はもう
思い出に出来なくて あの夏に 取り残されてる
I wish… ねがいごと 零れてく

君と一緒に居られたあの時は「恋人になれなくても、ただそばに居られればそれでいい」と思っていたけど。
もう離ればなれになってしまった今となっては「あの時どうして想いを伝えなかったのか」という後悔で、あの夏に取り残されている。
「昔好きだった人」という思い出には出来なくて、今も現在進行形で残り続けている恋心。
ねがいごとは手からこぼれ落ちていく。

・・・ちょっと休憩しても良いですか?(胸焼け)
いつになったらこの主人公はこの失恋から立ち直れるんでしょうね・・・。

まあ正確には、ちゃんと振られて失恋してないからいつまでも気持ちが残っちゃってるんですよね。
失恋という消化作業がされず、いつまでも燻って煙を出し続けたまま。

多分このままだと、新しく誰かを好きにならない限りずっと苦しんだままでしょうね。
やっぱりちゃんと振られるって大事ですね。
こうなるくらいなら振られた方が100倍マシに思えます。
(まあ振られたら振られたで引きずるんでしょうけど・・・)

Cメロ~ラスサビ

綺麗なままの恋で終わるのなら
傷付いても良いから 未来 見たかった

もし君に好きだよと言えてたら 今もまだ
思い出じゃない場所で その心 触れられたのかな?
I wish… ねがいごと 叶うなら

もう二度と 帰れない
あの夏まで
もう一度 帰りたい

告白しなかったことで、ただただ一途に君を想い続けた「綺麗な恋」の記憶だけが残っているけれど。
傷付いても良いから、君に告白して答えを聞きたかった。
もし付き合えたとしても、幻滅したりすれ違ったり、振られるよりもっと傷付いて別れる未来が待っていたのかもしれない。
それでも、いつまでもこんな未練に囚われ続けるくらいなら、傷付いてでもそんな未来が見たかった。

ねがいごとが叶うなら、君に想いを伝えたい。
もう二度と帰れないあの夏まで、もう一度帰りたい。

なんか、筆者が2番サビで感じたことと同じ結論に至ってますね。
主人公は、ちゃんと失恋したいのです。
振られるにしろ付き合ってから別れるにしろ、しっかりと気持ちにピリオドを打ちたい。
多分それだけなんでしょうね。
そして、それだけのことにずっと苦しみ続けている。

まあ恋愛なんてそんなもんだよ、って大人になると一言で片付けたくなりますが、思春期の女子にとっては世界の終わり級の大問題ですよね。
ある意味、恋愛の永遠のテーマですね。

あとがき

はい、というわけで読者リクエスト記事第2回「ねがい」でした。
前回の3/4以下の文字数で収まりました。(それでも4000文字は越えた
やっぱりリクエストだと自分からは選ばないような選曲になって新鮮ですね。今後も定期的に続けていきたいと思います。

しかし、2週連続で丸山さんの重たい悲恋曲は中々ヘビーでした・・・。
まあやるって言ったの自分ですし楽しかったのでヨシッ!!なんですが。

というわけで、次回はリクエスト第3弾のループですね。
やっと悲恋じゃないぞ!しかも作詞ClariSは初めてだ!
わーい、新鮮な気持ちで怪文書執筆頑張ります。

では、また次回。

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