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宇多田ヒカル「Face My Fears」- 私の知らない私は恐怖を直視した先にいる -


まえがき

宇多田ヒカルさんの規格外なところは、26曲入りのベストアルバムに入りきらなかった曲だけでも、余裕でもう1組ベストアルバム出せちゃいそうなところですね。

  • time will tell

  • Movin' on without you

  • Wait & See ~リスク~

  • For You

  • タイム・リミット

  • Deep River

  • FINAL DISTANCE

  • Keep Tryin'

  • 誰かの願いが叶うころ

  • Be My Last

  • HEART STATION

  • Stay Gold

  • Kiss & cry

  • 真夏の通り雨

  • 桜流し

  • Good Night

  • 嫉妬されるべき人生

  • PINK BLOOD

・・・おいおい、パッと思い付くだけでもこれだけ選外があるぞ・・・。
個人的好き度も踏まえたら入れたい曲さらに沢山あるから、26曲なんて全然足りん・・・。
しかも多作で候補曲が多いならまだしも、キャリア25年としてはかなり寡作な部類で100曲くらい(Utada名義入れても130曲くらい)しかない中でこれですからね。
どんだけ名曲しか無いんだよ・・・。

そんな中でも、SCIENCE FICTIONでの選外が筆者的に一番衝撃だったのはこの曲です。

Skrillexとの共作「Face My Fears」。
いやもう!どこをどう切り取っても完璧な名曲!
しかも世界的なヒット作「キングダムハーツⅢ」のOP主題歌。

まあ、同じキンハー関連の「Passion」も「誓い」も入ってないじゃん、って言われたらそれまでですが。
でもキンハー曲の中では、YouTubeの再生回数などを考慮しても「光」とこの曲がやはり知名度の点では抜けていると思います。
DISC 1は光、DISC 2はFace My Fears、とかでも全然良かった、というかそれを期待してた!って言いたいところですが、まあ諸事情や色々な想いもあったはずなので、しょうがないですね。
(そもそもSCIENCE FICTIONは「ここが不満」なんて頑張って考えても浮かばないほどに完璧なアルバムなので・・・)

歌詞

そんなFace My Fears、歌詞はかなりシンプルです。
リフレインになってる「Let me face my fears」を除くと文字数も音数も本当に少ない。

ですが、とてつもなく濃密な心情とメッセージを感じてしまいます。

ねえ どれくらい
ねえ 笑えばいい
今伝えたいこと よそに
Let me face, let me face
Let me face my fears
Let me face, let me face
Let me face my fears
私の地図に載っていない道に
立ちたい

本当は辛くて苦しくて、打ち明けたい気持ちがあるのに。
人前では無理して笑っている。
人前だけじゃなく、トラウマを直視したくなくて自分自身にすら嘘を付いている。

でも、それじゃ何も変わらない。
自分のトラウマと、恐怖と向き合わないと、先には進めない。
だから、恐怖と向き合おう。(Let me face my fears)
自分自身でも想像していなかった未来に進むために。

ねえ 生まれつき
ねえ 臆病な人なんていない
初めてのように歩きたい

Let me face, let me face
Let me face my fears
Let me face, let me face
Let me face my fears
私の地図に載っていない海は
遠くない

最初から臆病な人なんていない。
トラウマや辛い経験から、自分を守るために、傷付かないようにバリアを張っているだけ。
まっさらな初めてのように、素直に歩きたい。
そうやって恐怖と向き合えば、想像できなかった未来だって遠くないはず。

Let me face, let me face
Let me face my fears
Let me face, let me face
Let me face my fears
私の知らない私に
早く会いたい

怖がって目を背けるのはもう止めよう。
恐怖だって自分の一部、自分自身。
自分を受け入れて、向き合おう。
そうすればきっと「私の知らない私」が見えるはず。
そんな私に早く会いたい。

あとがき

メッセージとしてはかなりストレートで、言いたいこと自体が似ている曲はきっと沢山あるはずです。

なのに、何かの模倣には全く感じられない。
当たり前のことを言っているはずなのに、表現の圧倒的なオリジナリティと楽曲のクオリティに圧倒される。
そして、シンプルなメッセージだからこそ胸に突き刺さる。

宇多田ヒカルという人の凄さが詰まりまくっている、ちょっと次元の違う名曲だと思います。

しかし、この曲が選ばれていなくても満足できてしまうのが、ベストアルバムの概念すら変えてしまったと言っても大袈裟ではないSCIENCE FICTIONなのです。

【結論】パイセンは凄すぎる(`(エ)´)ノ彡☆

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