エグい恋愛模様な南野陽子「はいからさんが通る」をClariSがカバーしたらしい
まえがき
誰もが思ったことでしょう。
「強い!強い!顔面が強すぎる!」と。
ClariS×和装、約束された勝利でしかない。
この人達はなんでこんなに何着ても可愛いんですかねぇ・・・。
楽曲もポップで可愛く、淋しい熱帯魚とセットで最高すぎるカバーです。
しかし、歌詞オタク&平成生まれで原曲をあまり知らなかった筆者、今回のカバーをキッカケに歌詞を読んでちょっと思ってしまいました。
「これ、本当にClariSが歌って大丈夫?結構エグい恋愛模様な気が・・・」
原曲もClariS版もポップで可愛らしい、まさにアイドル歌謡曲って感じではあるんですが、歌詞だけ読むとかなり凄い心情歌ってますよね?
南野陽子さんが歌ってる映像も観てみたんですが、ニッコニコ笑顔で歌ってるのが逆に心配になっちゃいました。
そんなわけで、ClariSが歌ってるって考えるとちょっとドキドキしてしまう南野陽子「はいからさんが通る」の歌詞を今回はご紹介したいと思います。
曲紹介
作詞:小倉めぐみ 作曲:国安わたる 編曲:萩田光雄
1987年12月2日発売、南野陽子さんの代表曲の1つだそうです。
淋しい熱帯魚はギリ平成(1989年)でしたが、こちらは正真正銘の昭和歌謡曲ですね。
作詞の小倉めぐみさん、調べてみたらなんとSMAPの「がんばりましょう」も作詞されてる方なんですね!
その他にもSMAPに20曲以上提供されているみたいで、及川眠子さんに続いて凄い人の歌詞をClariSが歌ってるなぁ・・・と感慨に浸る歌詞オタクです。
歌詞
「エグい恋愛模様」と記事タイトルにも書いてますが、冒頭の歌詞から既に不穏な気配がプンプンしてます。
明るいメロディーに乗せて可愛らしく歌ってるのが逆に不穏さを際立てますね。無理して明るく振舞ってるというか、開き直ってヤケクソというか。
(どう不穏なのか、という点はこの後詳しく書いていきます)
また、「はいからさんが通る」という曲名の意味ですが、筆者の解釈では「黙って男性に付き従う古風な大和撫子じゃなく、強く凛々しく現代の女性として生きていきたい」という意味かなと捉えました。
では、どうエグい恋愛模様なのか、「はいからさん」をなぜ筆者がそう解釈したのか、にも触れながら歌詞を読んでいきたいと思います。
※歌詞は歌ネット(https://www.uta-net.com/song/3592/)からの引用
1番Aメロ
問題の冒頭の歌詞です。
ひらがな多めで字面だけ見ると柔らかい雰囲気ですが、漢字で書きなおすとこうなります。
「朝靄に煙ってる運命の分かれ道
あなたに出逢ってしまって 危うい方へ歩き出したの」
・・・どうでしょうか?
もう出だしからヤバそうじゃないですか?
朝もやに包まれて視界が悪く、選んだ先にどういう結末が待っているか分からない運命の分かれ道。
恐らくここでの分かれ道は「あなたと恋に落ちる」or「あなたを無視して先に進む」の二択でしょう。
で、主人公は「あなたに出逢ってしまって危うい方へ歩き出した」。
沼ったらヤバそうな男だと分かってたけど、「あなたと恋に落ちる」の方を選んでしまった。
という風にしか聴こえません。
女癖が悪くて浮気しまくるタイプなのか何なのか、具体的にどうヤバイのかは分からないですが、主人公も「危うい方へ歩き出した」自覚はあるみたいですからね。
もっと深読みすると、主人公自身が浮気相手・不倫相手になっちゃってる可能性だって充分ありますよね。
彼女持ち or 妻子持ちなのに自分に手を出してきた男性。
ヤバい男だなぁと思いつつ、抗えない魅力に恋に落ちてしまった主人公。
許されないことだとは分かっているけど、この人と一緒に居たい。
そう思っちゃった、という歌詞だとしても充分筋は通ります。
・・・え~、毎度のことながら「お前浮気・不倫解釈好きすぎない?」って言われたらグウの音も出ない筆者でございます。
いやでも、昭和の女性が歌う曲ってそういうのばっかりですよ?(偏見)
ClariS版MVの元ネタになってるザ・ベストテンに実際に出てくる昭和のヒット曲って、当たり前のように禁断の愛とか大人な関係のオンパレードですから。
そういう曲が平日ゴールデンタイムのお茶の間に普通に流れていたのが昭和という時代だったんだと筆者は勝手に思っています。
歌詞に戻りまして、ヤバイ恋愛だと考えると次の歌詞も意味深ですね。
「木洩れ陽が踊る日は 笑いころげたりして
曇った風が走る日は 心の奥がキュンと音をたてた」
この恋はやめた方が良いって頭では分かってるけど、天気が良い日も悪い日もあなたと一緒に過ごして常に幸せだった。(だからやめられそうにない)
うーん、見事に沼にハマってるようにしか聴こえません。
幸せの中に宿る狂気というか、自分でも迷いながらももう抜け出せないって自覚しちゃってる感じというか。
これは重症ですね・・・。
1番Bメロ
2人の関係の歪さが如実に表れているBメロ。
いくらキスをしても、彼が私だけを見てくれることはない。
そんなことは知ってるけど、でもどうしても彼の気持ちを繋ぎとめたい。
だから何回でも唇を重ねるし、多分それ以上の行為もしている。
いやはや、1番Bメロまででもうヤバさ爆発じゃないですか。
これをニコニコ笑顔で歌ってた南野陽子さんとクララ・カレン、どういう気持ちなんでしょうか?
それとも筆者の解釈がおかしいだけでしょうか?
でも後半の歌詞まで聴いた上でもやっぱりヤバイ恋愛にしか聴こえないんですよねぇ・・・。
まあ、歌詞解釈は十人十色ということでこの記事ではヤバイ恋愛説で終始ゴリ押したいと思いますのでご了承下さい。
しかし、これを当時人気絶頂の20歳のトップアイドルに歌わせるって中々凄すぎませんか?
一応知ってたつもりだったけど、昭和ってどんな時代だったのよ・・・。
1番サビ
そんなヤバイ恋愛沼にハマってるけど、傷付くことを恐れないで強く生きるわ!ややこしい駆け引きなんて使わないで、正面から好き好き光線飛ばすわ!
という、ポップなメロディーに乗せて歌われるとヤケクソの開き直りみたいに聴こえてしまうサビ。
なんか凄い悲壮な決意に満ちてるみたいで、静かな狂気と決意の強さを感じてしまいます。
筆者の個人的な感覚ですが、女性ってやっぱり強いんですよ。
「どんなに傷付いたって、好きって気持ちに嘘は付けない」って一度決心したら、もうどんなにヤバイ恋愛でも行くところまで行っちゃう強さがある気がします。
宇多田ヒカルさんとかaikoさんとか、そういう曲が沢山あるんですよ。
現実でもそういう女性を見たことがありますし、女性が恋愛というものに使うエネルギー量は男性の想像なんて遥かに超えてきます。
最後の「晴れた空が好きです」も意味深に聴こえませんか?
いつかは、胸を張って幸せって言える日が来たらいいな。
(逆に言うと、今は色々複雑な心境や迷いもある)
そんな文脈を筆者は勝手に感じ取ってしまいます。
2番Aメロ
「二人で通り過ぎたいくつものわかれ道」
ここもまた色々想像膨らみますよね。
あなたと別れるチャンスは何回もあった、このヤバイ恋愛から手を引く選択肢も何回も頭によぎった。
でも「白い花が香るときも実る季節もいつもいっしょだった」、つまり別れずにずっと一緒にいることを選んだ。
いやもう、覚悟決まっちゃってるじゃん・・・。
完全に「(キマってる目付き)」ですよ。
2番Bメロ
筆者が曲名「はいからさんが通る」の解釈のヒントにしたのはここの部分ですね。
「黙って男性に付き従う古風な大和撫子」でいれば、波風立てずあなたと一緒にいられるけど、何もかもあなたに主導権握られたままは嫌。
ちゃんと自立した女として自分らしく強く生きていきたい。
次の2番サビの歌詞とセットで「はいからさんが通る」はそんなニュアンスなのかなぁと感じました。
2番サビ
「あなたしだいで生きていくような乙女じゃカナシイわ」がさっきのBメロの解釈の補強になってます。
ジェラシー(嫉妬)でたまに取り乱すけど、精神的に自立して「自分らしくゆきます」という決意。
どうせ恋するなら、凛々しく逞しくいたいんです。
何もかも男性にゆだねるだけの弱い女のままは嫌なんです。
そう自分に言い聞かせてるようにも聴こえますね。
これを気が強そうな女性が歌ったら「逞しいですね」で終わりですが、南野陽子さんやClariSのような可愛らしい女性が歌うからこそ「今はまだまだそうなれてないけど、いつかはそうなりたい」っていう切なさを伴って聴こえてくるような気がします。
3番Bメロ
「ふれあう肌のぬくもり」とは、手を繋ぐとか抱き合うとかの甘酸っぱい感じなのか、もっと大人な場面で感じる肌のぬくもりなのか。
わたし、気になります!
そうやって感じる肌のぬくもりはハッキリと確かなものなのに、私達の関係の先行きは全然確かなものじゃない。
そんなことは知っているけど、でも止める気はない。
「もう覚悟は決まってる。地獄が待ってようが行くとこまで行ったらぁ!」感が半端無いですね。
3番サビ
どれだけ涙を流すような悲しみや酷い結末が待っていたとしても、あなたと一緒に見た青空が私の胸に一番輝くわ。
だから、このヤバイ恋愛を自分から途中で止めることはありません。
仮に酷い結末で終って別れたとしても、そしたら別の誰かとまた次の恋愛をすればいいから平気です。
だから、前を向いてゆきます。
いやぁ、人間ってこんなに悲壮な決意を持てるものなんでしょうか。
筆者にはこの曲がaikoさんの「桃色」や宇多田ヒカルさんの「Prisoner Of Love」「誰にも言わない」レベルの決意に聴こえてきました。
※余談ですが、aikoさんの「桃色」は曲調がポップなせいで一見ラブラブな恋人同士の曲っぽく聴こえますが、歌詞をじっくり読むと女性側の焦りと不安が感じられる超切ない曲です。
しかも超有名曲「カブトムシ」のカップリングで、同じカップリングの「恋人」もとんでもない名曲!興味のある方はぜひぜひ聴いてみて欲しいです!(オタク特有の宣伝)
Dメロ~ラスサビ
「うつむかずに 歩きたいの
あなたへの愛しさも せつなさも まっすぐみつめて」
主人公さん、もう全てを受け入れる覚悟が出来ちゃってますね。
そして、「はいからさんが通る」という曲名を体現する「凛々しく恋してゆきたいんです私」を繰り返して、最後は筆者が意味深に感じた「晴れた空が好きです」で終わる。
なんというか、晴れた空を見ながら主人公はどんな気持ちなんだろう・・・というとても深い余韻が残りますね。
丸山真由子さんの歌詞の時に毎回触れてますが、最後に映像を残して終わる歌詞が好きなんですよねぇ。
直接言葉で説明するんじゃなくて、映像から読んだ側の想像が無限に広がる余白が好きと言いますか。
「晴れた空が好きです」は1番サビでも使ってるんですけど、1番サビとラスサビだとまた違う心情が伝わってくる気がします。
それをごちゃごちゃ言葉で説明するんじゃなく映像に託す、というのがとても粋だと思いました。
あとがき
というわけで、南野陽子「はいからさんが通る」でした。
いつも以上に筆者の個人的な好み大爆発で書いたので、南野陽子さんファン・ClariSファン双方から怒られないかがとても心配ですが、あくまで個人的な解釈ということで大目に見てもらえれば幸いです。
作詞の小倉めぐみさん、顔写真や性別などが検索しても見つかりませんでしたが、お名前的に恐らく女性なのかなと思います。
まさにこの歌詞は筆者が大好きなタイプの「女性にしか書けない女性の心情」に読めたので、本当に偉大な作詞家だったんだなと遅ればせながら感じました。
2021年にお亡くなりになっているそうですが、改めてご冥福をお祈り申し上げると共に、素晴らしい歌詞をこの世に残して下さったことに感謝したいと思います。
いやあ、それにしても「淋しい熱帯魚」も「はいからさんが通る」もどちらも曲もMVもClariSにハマってて素晴らしいコンセプトEPですね。
もう1ヶ月もないリリースイベントが益々楽しみになってきました。
東名阪全通予定なので、エンカするかもしれない読者の皆様よろしくお願い致します。
ではでは、以上となります。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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