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作詩-言葉たち-vol2

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2015年11月の記事一覧

雨の果て

雨粒の鼓動がきこえる
脈打つように
息するように
精一杯うたってる

君たちは
どこまでが君たちで
どこまでが君たちでないのだろう

地上を
天を
海を
命の狭間を巡り
やがて雨に還るとき

君たちは君たちなのか

たとえば同じ場所に還ってきて
出逢えたら
私を憶えているだろうか
天文学的確率ですれ違った
たったひとつの雨粒

なのに君たちは確かに残してゆくんだね
懐かしい香りだけ

雨の匂いが

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発芽して
これからぐんぐん伸びゆくはずが
大きな石が邪魔をして
どうにもこうにも進めない

頭の上の重みに
体まで押し潰されそう

ひょいとかわして
伸びればいいじゃない

だけど重くて動けない
助けはほしいが声が出ないの

苦しい苦しいと乾くこころが
壊れる前に水をください

流れゆくもの

気づかないうちに世界は変わっている

聴こえるもの
見えるもの
触れるもの
同じ感覚でいられることは
もうないから

あなたが今感じるものを、
憶えていてね
刻んでいってね
うたっていってね
残していってね

同じものは感じられない。だから憶えていられない
同じ刻印は二度と来ない
同じ歌はうたえない。だから残してもいけないの

でもせめて
流れに棹差すように刻むように
流れゆくことに気付かぬまま行

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