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私が7割の家賃補助をもらわない理由

よく、家賃は月収の1/3以下が目安と聞く。
手取り25万円のサラリーマンなら、8万3千円。
エリアにもよるが、23区の駅近、女性目線でオートロックや独立洗面台などの諸条件を追加するとそんなに広い部屋には住めないだろう。

そもそも月収の1/3というのは一体何の根拠があるのだろう。家賃8万円のところに住むと残りの17万円でガス水道電気インターネット回線含めた固定費、日々の食費、削れそうで削れない交際費などをまかない、気合を入れなきゃ行けない朝はスタバのコーヒーくらい躊躇うことなく買いたい。大企業勤めなのにリボ払いやら借り入れのあるOLが少なくないのも不思議でなはないように思う。

私の勤める会社は家賃補助が7割出る。入社時に通勤可能範囲に実家があっても一律7割出るのだから、かなりの高待遇と言えるだろう。私はこの恩恵を大いに活用し、長らく東京のど真ん中に所在するオフィスから徒歩30秒の距離に住んでいた。

会社から自宅がどれくらい近いかはこちらの記事でも言及しているのでご紹介↓

オフィス街なんて居住環境としては全然良くないのではと思うかもしれない。でもその部屋は河川に面していたので景色も夜景も最高だったし、週末は広い歩道を歩く人はほとんどおらず意外なまでに閑静だった。肝心の仕事は全く面白味のカケラもなかったのだが、かと言ってハードなわけでもなく、福利厚生の手厚さが仕事のつまらなさを相殺+αして本当にこの会社に入って良かったと思った。

そんな私の実家は持ち家である。父の海外転勤が一旦終わり、日本に帰国したタイミングで一度家を買った。当時私は小学5年生で、両親が「新しく建つマンションのモデルルームを見に行こう」というのでよく分からないままついて行った。そして両親は家具を買うかのような気軽さで家の購入契約をして帰路についた。今思うと驚きの決断力である。

両親が購入した物件はマンションと言っても、3階建ての戸建てをコの字型にくっつけた造りだった。レモン色の外壁、ガス灯風の外灯、共用部のタイルはテラコッタと、さながらヨーロッパの街のような雰囲気だった。ただ入居から2年も経たずして父の海外転勤が決まり、その家は貸しに出され、知らぬ間に売却されていた。

再び父の海外転勤が終わり日本に帰ってきたのは私が大学生になる頃だった。帰国した直後は適当な賃貸に仮住まいをしていたが、またもや私の預かり知らぬことろで両親は家を購入していた。今度はマンションではなく、閑静な住宅街に建つ中古の戸建てだった。両親、特に母はインテリアや内装に並々ならぬこだわりを持っていて、その家も入居前に大規模なリノベーションを行ってから入居した。そして購入してから12年後、更地にしてゼロから好みの家を建て直した。

地方出身であることも影響しているのか、私の両親は揺るぎなき戸建て派である。しかし転勤族だった故、長年賃貸に住まざるを得なかった。周りの友人の家も持ち家戸建て派ばかりで、海外転勤から本帰国するともれなく家を建てていた。そんな環境で育った私は、人生の大半を賃貸住宅で過ごした(うち6年間は学校の寮だが)割には、無意識のうちにすっかり持ち家戸建て派になっていた。

大学生の頃に付き合っていた彼氏と賃貸vs持ち家で議論した際、手持ちの切り札を全て出し切ってしまった私は「自分の娘がお嫁に行く時に家が賃貸アパートではみっともない」とすこぶる時代錯誤的かつロジカルの片鱗もない理由が口をついて出た時には我ながら驚いたものだった。

そんな私をすっかり賃貸派に転身させてしまった家賃補助の威力はすごい。結局賃貸vs持ち家で白熱バトルを繰り広げたその彼氏と結婚し、円満な賃貸新婚生活を送っていた。20代半ばも過ぎた頃、周りがマンションを購入したり家を建てたりし始めても、特に羨ましいと感じることもなく「ふーん、掃除とか老朽化対策とか大変そう」と思うだけだった。

そんなある日、きっかけはひたすら持ち家推奨とSPGアメックスカードの魅力についてばかりを発信しているだけなのに何万人ものフォロワーがいるインスタグラマーを見つけたことに始まる。その頃には賃貸派信者と化していた私は「いやいやいや、将来資産になるって言っても建物は日々古くなって売りたい頃にはほとんど価値なんてないでしょう」「気軽に引越しもできないし、大地震がいつ来るかも分からないこの国で家を所有するなんてハイリスクすぎる」とツッコミを入れながら流し見していた。

しかしそのインスタグラマーは日に日にフォロワーを増やし、いつのまにが友人との会話でも話題に上るほどの存在感になっていた。ある晩夫にそのインスタグラマーの投稿を見せてみた。一目で理系であることが断定できるほどのロジカルオーラを放っており、その実ロジック大好きマンな夫が如何に論破するのか非常に興味深かったのだ。

自分がその話題を提供したことすら忘れた頃「マンションなら買うのはありかも」と夫が言った。私はてっきり自分たちの賃貸派信仰がより強固なものになると思っていたので、耳を疑った。夫は私が見せた投稿を一通り読んだ後、不動産にまつわる本を何冊か読んで勉強したらしい。その結果、夫としてはマンションなら購入した方が合理的という結論に至ったとのこと。要点をまとめると下記の3点である。

①賃貸物件に対して払う家賃は消費でしかない
 →裏を返すと不動産の営業マンがよく言う「ローンが払い終われば自己資産になる」ということ。実際資産になるかどうかは物件次第だが、賃貸に払う家賃は価値の有無に関係なく消費である。またマンションの減価償却期間が47年であるのに対して、戸建ては22年で償却されるため、マンションと比べると戸建ては消費要素が強い。

②割安な物件を買えばプラスの資産になる
 →市場に出ている物件は、強気な価格設定のものもあれば1日でも早く売却したくて適正価格に対して非常に安値で売りに出ているものもある。割安な物件を購入し、何年か住んだうちに購入した金額以上で売却すれば、住んだ期間の家賃が浮くだけでなく利益すら得られる。

③コスパを考えると戸建てよりマンション
 →①でも述べたが、戸建ては減価償却期間が短い。それをカバーできるほどの割安価格で購入できれば別だが(極論1000円で買えるなら戸建ての方が特に決まっている)、資産価性を考えるとマンションに軍配が上がる。また、夢のマイホーム!と舞い上がって私の両親のようにゼロから自分好みにカスタマイズした家を建てると、そのコストは資産価値には反映されないので注意が要る。

マンションは購入しても管理費と修繕積立費を一生取られるから損だ、という人もいる。ただその分マンションは24時間ゴミ出しができたり、家の周りの掃き掃除やら町内会やらに参加せずに済むメリットがある。また戸建てだって自分で修繕費を貯めておかないといつ台風で瓦が飛ぶか、地震で窓ガラスが割れるか分かったものではない(定期的に修繕を行ってくれるマンションの方が資産価値も保てる)。

これ以上の区分マンション購入のメリットについては、この本に譲る。夫が20冊以上読んだ不動産の本(除不動産投資)の中で最もオススメとのこと。

そんなこんなで我が家はたった一人のインスタグラマーをきっかけに華麗に持ち家派に転身し、その週末から乳飲子を抱えて内見に次ぐ内見祭りが始まった。そして物件探しから一年、理想の物件が見つかり、我が家より一歩早かった一番手の購入希望者を売主への直筆の手紙でひっくり返してドタバタ不動産探しは無事に幕を下ろしたのだった(ついでに語るには盛り沢山な話なのでまた別の記事にまとめたい)。

でもいくら家賃が消費だからと言って、実質3割の賃料で借りられるのであればリスクを取ってまで持ち家にするのは割に合わないのでは?という意見もあるだろう。その実、同じ考えの人も多いようで、弊社の持ち家比率は4割にも満たない(人事権限でこっそり確認したことがある)。それでも私が家賃補助と別れを告げて家を購入した最大の理由は、家賃を人質に取られて会社から離れられなくなることを避けるためである。

定年まで勤めあげる覚悟があれば違うのかもしれないが、仕事に1mmの面白さも見出せていない私はいつか今の会社にいることがイヤになるだろう。転職するにしても家賃補助が7割も出る会社なんてごく一部だろうし、家賃分を上乗せした年収の会社に行けば今より働かされるに違いない。家賃補助は見逃せない魅力である反面、自分の人生の選択をする上での足枷にもなる。

とはいえ家を購入した場合は別途100万円が支給されるので、会社の福利厚生には感謝でいっぱいだ。いつまでこの会社で働くか全く分からないが、既にそのメリットは最大限享受したに違いない。

—家賃の話はここまで—

そして最後に、見事に我が家を持ち家派にひっくり返したインスタグラマーのイチオシであるSPG アメックスカードについて。

ロジック大好きマンの夫はもちろんアメックスがお得が否かもちゃっかり計算していた。結論、国内外問わず飛行に乗る機会があり、旅行が嫌いじゃない人は年会費を払ってもプラスになるということだった。

それでも私は「なんとなく損しそう」と懐疑的だったのだが、文学部卒の私は工学部卒の夫にその「なんとなく」をロジカルに説明できず、折衷案として入会特典ポイント(45,000円相当)を目当てに1年試しに使ってみるということで妥結した。

結論、一年目は確実にペイできる。そして実際の1年間の利用額と帰省交通費をマイル換算した結果、我が家は確実なコストメリットがあることが分かったので2年目の更新を行ったところである。

最近どこのカードもポイント還元率が驚くほど低いので、今のクレジットカードが最適なのか自信のない方はぜひご参考までに↓

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