2024/07/04

「いただきまぁす」
間延びした声がリビングに一つ。時刻は9時を回ったところ。少し遅めの朝食を口にしていた。朝ごはんは出汁茶漬け。最近ハマっていて、朝といえばもっぱらこれである。さっと準備ができるのも、不足しがちな水分を補えるのも魅力的だった。
ガラスでできた直径20センチほどの深皿へ炊き立てのご飯をよそう。今日は永谷園の出汁茶漬け「梅」。サラサラと顆粒をかけ、ケトルで沸かしたお湯を注ぎ入れる。はい、これで完成。簡単簡単。
食卓テーブルに着席し、北海道サロベツ牛乳を片手におそるおそる口へ運ぶ。カツオベースの出汁の中に、梅の酸味。さっぱりしていて食べやすい。
そう、おそるおそる。
実を言うと、朝起きて、永谷園出汁茶漬けアソートパックの外袋の中を覗き込んで肩を落としていた。私は梅が苦手だ。性格にいえば苦手なのは梅干しなのだろう。今日改めて実感した。まずはじめにアソートパックの中には「さけ」「のり」「うめ」「えび天茶」の4種類が2袋ずつ入っている。6月末、大学時代の友人と鎌倉へ旅行したときに購入したものだ。で、今日残っていたのが
「うめか……」
「うめ」2袋と「えび天茶」1袋。私はううんと頭を悩ませた。
旦那は汗をかくからと言う理由であまり温かいものを口にしたがらない。私一人でこの出汁茶漬けを食べ切る必要がある。
梅干しの、あの独特の果肉感と強い酸味。そして塩辛さが脳裏をよぎる。刺激的なものにめっぽう弱い私は「えびてん茶」を手に取り「うめ」を横目に見る。
(……待てよ、)
いま「うめ」を選んだら次回は「うめ」2連続じゃないか?
しょうもない考えだ。本当に。でも苦手なものは苦手なわけで。
結局、少し悩んだ末「うめ」を手に取る。今日は休みだ。食べられなかったら別の朝食を用意するゆとりがある。私はちょっとだけブルーな気持ちで封を切った。

「あ、思ったより美味しい」

2024/07/04

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