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【まるで映画のワンシーン】シネマティックな動画を撮るための機能は、全部LUMIXに詰まっている。

こんにちは、Akiraxe(@akiraxe)です。

普段は企業系の映像案件をこなしながら、趣味では映像作品やレビュー動画を作っています。そのため僕自身は業務の視点と作品の視点の両面からLUMIXの優位性を皆さんにお伝えできると感じています。

今回はその中でも特にVlog等で定番化している「シネマティック動画」とLUMIXをテーマに話してみます。

シネマティックの定義

そもそもシネマティックってどういうもの?という議論もありますが、ここで言うシネマティックとは、ウェディングムービーやVlogに代表される、画面の上下を黒で切って、色を映画風のルックにグレーディングした動画と定義しておきます。

映画のワンシーンをデフォルメしたような雰囲気で自分の作品を作ってみたい。そう思った方も多いと感じます。自分はまだミラーレス一眼で動画が撮れない頃から、当時のビデオカメラで「どうやったら映画のような、フィルムのような雰囲気に近づけられるのだろう?」と試行錯誤してきた映画バカです。

その時に行き着いた大枠の結論はこちら。

1)24コマのプログレッシブ映像
2)フィルムのような色のりとコントラスト
3)16:9より横に広いシネマスコープの映像比率

というものでした。そこで当時僕が出会ったのが、PanasonicのAG-DVX100というビデオカメラに搭載していたシネライクガンマです。「まるでフィルムで撮ったかのようだ」と衝撃を受けた記憶があります。

このシネライクガンマは、のちのLUMIX機種にも引き継がれ、自分の記憶が正しければ2014年発売のGH4から「シネライクD/V」というフォトスタイルとして搭載されました。その時自分が書いた記事では、暗部からハイライトまで、ラチチュードがとても広い、リッチな映像が撮れると評価しています。

シネマティック撮影なら全部入りのLUMIX

LUMIXの全機種が対象にはなりませんが、こと動画性能を強化しているLUMIX GHシリーズや、フルサイズのSシリーズに至っては「ミラーレスという名のシネマカメラ」と言わんばかりにシネマティック動画撮影に便利な機能がほぼ最初から入っています。

先述したシネライクガンマのフォトスタイルの搭載はもちろん、グレーディング(自分で演色)を前提としたLog撮影機能に始まり、外部収録機を使えばRAW記録撮影だって可能です。

「それって他メーカーもできるのでは?」と思われた方、確かにそうなんですが、LUMIXのすごいところはそのアシスト機能。

本格的にシネマティックな撮影をしようとすると外部モニターが必須だったり、時に盛り盛りにしなければならないところを、LUMIXの場合は余分なものなしにカメラ単体でかなりハイスペックな撮影が出来てしまうのです。

そしてなんと言っても、映画業界を代表するシネマカメラ「VARICAM」が培ってきたV-Logの存在(※)です。またそれに付随するシネマライクなLUTの無償配布VARICAM LUT LIBRARYも見逃せません。

※ 一部の機種では、V-Log搭載は別売(オプション)になっています。

充実のLogビューアシスト機能

シネマティックな動画を撮影する場合、もちろんシネライクD/Vといった撮って出しのフォトスタイルを利用するのも手ですが、やはり好みのLUTを当てたり、あとでグレーディングしたいところでしょう。その際に超絶便利なのがLogビューアシスト機能です。

Log撮影可能なミラーレス一眼の多くは、モニター上で淡く見える色味を一時的に通常の色味に見せる機能は搭載されていますが、それに加えLUMIXのGHシリーズやSシリーズにおいては、好みのLUTを4つまで登録できます。その色味のままモニターで映像を確認できるだけでなく、HDMIに出力させることも可能なんです。

つまりLUT機能が搭載されていない一般のテレビモニターであっても、カメラ単体でLUTを適用させて映し出すことができます。もちろんモニター側、HDMI出力側と、個別にLUTのON/OFFも出来ます。こういったことは普通、シネマカメラでないとできません。

なお、ここで登録できるLUTの形式は「.vlt」という17Point 立方体の3D LUT形式になりますが、後述するVARICAM LUT LIBRARYで配布されていたり、DaVinci Resolveからも書き出すことができるので、事前に好みの色を.vlt形式で書き出して、LUMIXのボディに登録しておくと良いと思います。一方で2022年3月に発売されたGH6は、一般的な「.cube」の33Point 立方体の3D LUTにも対応しています。

VARICAM LUT LIBRARYの存在

シネマティックな色味にしたいけど、グレーディング初心者でなかなか思い通りの色が出せない、という方にもLUMIXのV-Logソリューションが大きな助けになるでしょう。

特にPanasonicのVARICAM LUT LIBRARYでは、V-Logに対応した36個のLUTが無償で配布されています。

中でも個人的おすすめはティールオレンジ系の「FASHION」シリーズや、スキントーンが綺麗に引き立つNICEST709、暗部を浮かせマッドな質感を作るAGRESSIVE709です。

これらのLUTは自分もスタートとしてよく使っているLUTになります。先ほどお伝えした通り、カメラ側に登録するための「.vlt」、モニター視聴やカラーグレーディングに使う「.cube」が配布されています。以下はVARICAM LUT LIBRARYのNICEST709をベースに製作した作品です。

VARICAM LUT LIBRARYにあるLUTは最初からV-Log用に設計された純正とも言える演色LUTです。

最初のほうで「全部入りのLUMIX」と言いましたが、決してカメラだけの話ではない、「V-Logで撮ったから終わり」ではなく、ある意味「撮った後どうする?」まで提案してくれているのもLUMIXシリーズの強みと感じています。

シネスコ風撮影に超絶便利なフレーム表示機能

シネマティックの要素に映像の比率があると思いますが、横長のシネマスコープの比率にするため編集時に上下に黒帯を入れる方が多く見受けられます。巷ではこれをレタボ(レターボックス)と言ったりしますが、今となってはシネマティック動画の重要な一要素だと感じます。

しかしながら撮影時は16:9のため、最終的にどの範囲で映像が切り取られるかわからず、そのためだけにフレームガイド機能のある外部モニターを用意したり、中には黒のパーマセルテープでカメラの液晶画面を上下にマスクしている方もいるかもしれません。

そんな時、LUMIX GHシリーズやSシリーズに搭載されているフレーム表示機能が便利です。GH6を例にとれば、2.39:1や2.35:1のシネスコサイズはもちろん、4:3、スクエア、さらには任意の比率で液晶モニター(もしくはファインダー)上にガイド線を出すことができます。

黒で潰し完全にレタボにすることも、半透明にする事も自由自在です。もうこれだけのために外部モニターを用意する必要はありません。

充実のスコープ表示機能

Log撮影で重要なのは露出の見極めです。特に撮影時にハイライトを飛ばしてしまうと編集時に色が戻ってこないので、ハイライトを意識して撮影しているビデオグラファーも多いと感じます。

ただ実際はバランスが重要で、ハイライトをケアしすぎたために主題をかなり暗く撮影してしまった、なんて失敗もあるかもしれません。一般的なヒストグラムだと、このあたりの判断は難しいものです。

どこにどれくらいの明るさのデータがあるかを瞬時に判断し撮影時にバランスをとるには、画面に対しての個々の明るさを瞬時に判断できるウェーブフォームが便利です。

ウェーブフォームベクトルスコープは業務用シネマカメラや業務用モニターでは表示できるものの、ミラーレス一眼で表示できる機種はまだまだ少ないと感じます。LUMIXのGHシリーズやSシリーズであればいずれも表示でき、S1HやGH6に至っては大きさを3段階で変更可能で、表示場所も自由に動かせます。

さらに便利なのがスポット輝度メーターです。特にLog撮影時はSTOP数で表示してくれるので、たとえば18%グレーカードやスキントーンに向けた場合、そこが0STOPになるように調整すれば、すぐに適正露出を出すことができます。

また+-1 STOP等の調整も簡単です。こんな機能を搭載しているミラーレス一眼はLUMIX以外に見たことがありません

外部収録では各種RAW動画記録撮影が可能に

LUMIXの一部の機種では、Apple ProRes RAW と Blackmagic RAWの外部収録にも対応しています。自分は普段からDaVinci Resolveを使っているので、特にBlackmagic RAWでの収録は大きなアドバンテージと感じています。以下は、LUMIX S5にてBlackmagic RAWで撮った作品です。(なお三脚は使わず、全部手持ちで撮っています。)

LUMIX S5は14+ STOPのとても広いダイナミックレンジの映像が撮影できますが、それがミラーレス一眼で12bit RAWで収録できてしまう。しかも5.7K 60pで撮れてしまう。ここまでくると、もうガチのシネマカメラと言ってしまっていいと思っています。最近ではGH6もApple ProRes RAWの外部収録に対応しましたが、RAWという選択肢を与えてくれているのも、自分が「全部入り」といっている所以です。

系譜からみるLUMIXの「色」

最後にLUMIXの色について少しだけお話ししたいと思います。

LUMIXの色はよく「忠実色」と言われますが、僕個人としては若干違う印象があります。映画っぽく撮るにはどんな色がいいのか、どうしたらフィルムライクになるのか、そんなことばっか考えていた頃にPanasonicのシネライクガンマと出会いました。

それもあってか、僕は昔からPanasonicの色はシネマ寄りだな、なんて印象を持っていますし、当時からの色の系譜が今でもLUMIXに引き継がれています。ただ昨今のシネマティックに代表される、より演色性の高い色にするにはLog系フォトスタイルの存在も大きいでしょう。

LUMIXに搭載されているV-Log(※1)がすごいところは、同社シネマカメラであるVARICAM用に開発された、上下合わせて16STOPのガンマカーブに統一している部分です。マイクロフォーサーズのGHシリーズとフルサイズのSシリーズはダイナミックレンジこそ違うものの、基本はこのガンマカーブに合わせLogのフォトスタイルが設計されています。

仮に現在までV-Log2やV-Log3など複数あったとしたら、それ以前に作った色がそのまま適用できなくなってしまいます。例えば、さきほどお伝えしたVARICAM LUT LIBRARYで配布されているLUTは、V-Logで撮影可能なLUMIX全機種・同社シネマカメラにおいて、ほぼ同じ色で出てきます。(※2)

LUMIXはいろんな意味で「色にまじめ」という印象があります。そういう意味でいえば「忠実色」なのかもしれません。
※1 一部マイクロフォーサーズ機種はV-Log L(上80%でクリップする)
※2 厳密にはカラーサイエンスの違いにより誤差はあるが大きく変わらないという意味

LUMIXで、シネマティックな動画撮影を始めよう

最後まで読んでいただきありがとうございます。

いろいろお話ししましたが、要点を一言で言えば、LUMIXはシネマティックな動画を撮るのに超絶向いているオールインワンミラーレスという事です。

機会があれば、LUMIXで映画のワンシーンのような動画をぜひ撮ってみてください。きっと今回紹介している機能の便利さを痛感いただけることでしょう。

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