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おがさわら丸 24時間の旅 ~TIME IS LIFE~

大船に乗る
そんな言葉がある。

それは心の安心、大安心に降り立つ言葉。

小笠原行き24時間おがさわら丸の旅はそんな旅。

今回、わたしは一等室をひとりで使い、
仲間は船に乗っているが船の中で会うことはほぼなく
ひとり旅に近い24時間だった。

おが丸の最大の特徴は
24時間近くネットが繋がらないこと。

ギリシャの島々もたどり着くまでに
日本から24時間以上かかる。

それでも合間のトランジットでネットにはつながる。

これだけインターネットが発達した地球で
24時間近くネットに繋がらない移動旅は
そうないんじゃないかなと思う。
(ネットがつながらない場所はあるにしても)

おが丸に乗船して
日頃、どれだけ無意識的にネットを見ているかがわかった。
ネットがないだけで時間が有り余る。

ネットの恩恵、ネットがないことの恩恵。

小笠原行きの旅で最も印象的だったのは
このおが丸で過ごした24時間かもしれない。



一歩出れば仲間もいる安心の中
完全なひとりを体験できた。


これは、ネットが仕事場のわたしにとって
ほんとに貴重な時間。

そういった意味で
おが丸の旅は移動の手段というより
旅そのものだと思う。

 
飛行機と違い
充分なプライベートスペースがあり
テーブルがあり、言葉を記すことができ
ベッドで眠り
お湯を沸かして
コーヒーやお茶を入れることもできる。

食事もいろいろあって選べる。
そこそこ美味しい。
トイレもシャワーも快適。
何日かおが丸で海の上でも
構わないぐらい快適。


ただただ沈んでいく夕陽を見る。

鳥たちが次々に魚を捕まえるのを見る。

気づけば2時間
日が沈んでからも
しばらく海を眺めていた。

その間
何も考えず。

ふと気づいた。
こういう時間が欲しかったんだなと。

鎌倉でも
ただただ窓の外の緑を眺め

由比ヶ浜で夕陽を眺める
そんな時間はとっていた。

けれど
その時間が終われば
すぐに切り替えて動き始める。

ここでは
夕陽を見たあともすることがない。
せいぜい食事をするかどうかぐらい。

時間の分断がない。
ゆるやかに次へ移行していく。

日が沈んでからも
微かに明るさが残る空を
最後まで見ていた。

用意していたワインを飲みながら
日記を記し眠る。


ゆるやかにゆるやかに
次へ移行していく。


このことは死に方にも生き方にも繋がる気がする。

時間は生命。
time is life



聞こえるのは、波の音と呼吸の音。

ゆっくりと細胞の隅々まで。
ひとつひとつの細胞に酸素が届くのを見届けるかのよう。
呼吸そのものに溶けて

時間を分断せずに
あちら側へこちら側へ。



何も考えず
今ここにただいる。

夕陽を見ることだけに
自分を捧げている。

ただこれだけのことで
自分自身にエネルギーが注がれていく。



このことは第7ハウスの本質をとらえていると思う。
第7ハウスは夕陽が沈む場所。



空白を味わう24時間の旅。

何もすることもなく
何かしようとも思わない
おが丸の24時間は瞑想の旅のよう。

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