まーさかまさかの、でーきごとっ

その日は突然訪れた。
21年という長い年月を共に過ごした愛車との別れ。
事故で修復不可能でもなく
故障で修理不可能でもなく
朝、いってらっしゃいと見送ったのが最後だった。いや、正確には前日夜にただいまと声掛けたのが最後で、こんなことなら朝に見送っておけばよかったと悔やまれる。もう後悔してもしきれないし、過去にも戻れない。

突然の別れ。それは、盗難。

車両の盗難被害が多発してるのは、前から聞いていた。色々対策はしていたものの、手口は強行突破とも言えるものだったらしい。昼間だったし、住宅街に囲まれてるし、大通りも近い。少しの衝撃や傾斜がついたら発砲する装置も付いてたけど、大音量のビービー音を鳴らしながら走り去ったという目撃情報もあったみたい。

打つ手なし

どうしたら盗まれずに済んだのかをいっぱい考えた。
エンジン始動しないようにしたりすればいいのか。または、GPSを仕込むのか。その究極は「乗らない」「所有しない」になってしまうけど、それは選択肢にはならない。

ビービー音で強行突破されちゃうのなら、(⚈ ̍̑⚈͜ ̍̑⚈)👈のテーマソングが大音量で流れるとかはどうだろうか。もしくは、「盗難です。直ちに通報してください」というようなアナウンスを流すのはどうだろうか。
監視モード中に解錠された時にだけ、ドアノブ触ったらビリビリするとかはどうだろうか。夜だったら、車内がめっちゃギラギラ光る仕掛けはどうだろうか。
実現できるかどうかはさておき、アイデアはいくつも浮かんできた。

でも、もう何もしてあげられない。

見つかる可能性は、もうかなり低いと思う。
ほんのちょっとだけ見つかる希望はもってる。
まだまだ一緒にお出かけしたかった。
何処に居るんだろう。
ひとりぼっちで泣いてるかな。

車を運転する楽しみや、車をいじる楽しみを私にたくさん教えてくれたこと、一生忘れない。
また、いつか会えますように…