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小さな太陽

只今撮影機材の大幅断捨離中だったりする。
ちょっと寂しくもあるが、まあ、こんなものだろう。

そんな中で「クリップオンストロボ」を見つけた。
結構古い、ナショナルの外部オートストロボだが、一応機能は正常のようで、オートもそこそこ正確だったりする。
流石は世界のナショナル、MADE IN JAPANだ。

ミラーレス機に着けて撮ってみたら、ちょっと驚かされた。
「光が回る」というが、画面全体に光が豊富に行き渡っている。
これは、ビルトインされた一桁GN のストロボでは、絶対に出せない味だ。

ガイドナンバーは、24くらいある。
広角用のパネルを着けても、部屋全体に光が届いている。
天井バウンスを試みると、木の色を反映し、全体が赤っぽくなる。

なんとも言えない贅沢さを感じた。
光のバブル、とでも言ったら良いのか。
これは内蔵ストロボでは出せない。

…ふと思ったのは
「フィルムカメラはブームだけど、ストロボを買う人ってどれくらいいるんだろ?」
…と言うこと。

まあ、標準レンズは明るいから、室内でも撮れないことはない。
だけどきっとブレるだろう。
手ブレが無くても、被写体ブレは出る。
シャッタースピードが遅いのだから。

昔、レンズつきの一眼レフを買って、次に買うものといえば「ストロボ」だった。
友達を撮るときも、これが無いとまずは始まらない。
カメラアクセサリーでレンズを除けば、次に欲しくなるのがストロボなのは、購買層の多くが「ちょっとコンパクトじゃねぇ?」というハイティーンや二十代前半の若者だったからだ。

一眼レフは、バイクやクルマと同じく、若い男の子のステイタスであった。
ゆえにどこのメーカーも、ストロボの制御に血道をあげ、売りとしていた。
OLYMPUSの「ダイレクト測光」は、TTL (Through The Lens)でのフラッシュ測光を可能としたパイオニアであり、これに他メーカーも追従した。
一頃の一眼レフ市場は、ストロボの技術によって拡大されてきたと言っても良いだろう。

デジカメが、物心ついた時には我が家に有ったという若者は、クリップオンストロボの効果と言うものを、あまり知らない。
多人数での集合写真も、屋外はともかく、屋内の写真は、どこか眠い感じのものだと信じているのではないか。

太陽の代わりとして周囲を照らすストロボという存在。
その強烈な強さ故に、最近は敬遠されてきているように思う。
それがどこか寂しいのだ。

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