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医療従事者は忘れてはならない.隔離は人権侵害だということを.

世間ではノーマスクで電車に乗ってくる人も増えてくる中で,夏に予想した通り,医療機関内では世間の「緩和の空気」と「感染防止」の大義名分の中で苦しい模索が続いている.

合理的に考えれば,もはや2人に1人しか感染に気づかず,5人に1人が感染しているような感染症には,「ゼロコロナ政策」ではなく,機能不全に陥らない程度に感染を許容して量的コントロールを行う「ウィズコロナ政策」を行うしかないのだが,一度始めたことは変えられない日本人の悪い癖が各所で出ており,未だにゼロコロナ政策を堅持しようとしてあちこち病棟閉鎖を繰り返している病院も少なくない.

そのような医療従事者に問いたいことがある.

なにゆえにあなた方は患者の自由を奪う権限を付されているのか?

コロナ患者の隔離は言うまでもなく感染症法に基づくものだが,感染症法にはハンセン病の苦い過去があることを,医療従事者はもう一度思い出すべきである.警察や軍隊のような執行機関でもないのに,不穏のように本人に危険が及ぶわけでもないのに,感染者を隔離し一つの部屋に閉じ込めるというのは,それによって著しい周囲への害悪を防げるときにのみ許容される人権侵害行為だということを忘れてはならない.

はっきり言って今のコロナの危険性から言えば隔離措置自体が正当性を失っていると言っても過言ではないが,感染症法が2類相当を定義する以上は隔離措置自体はやむを得ないかもしれない.しかし感染対策の名目であればなんでも通るかのごとく,患者の権利を次々と奪うことに医療従事者や病院管理者が慣れすぎているというのは極めて問題である.

いずれこの問題は医療従事者への信頼度の低下や危害につながってくるとともに,虐待などに対する医療従事者の感度の低下や質の低下につながると私は見ている.実際にいまだに次々と感染対策のお題目で患者の行動制限をかけているような病院では,感染対策とは関係のないサービス場面で患者軽視の事案が続出しているところもある.上から目線で行動を押さえつけることに鈍感になっているからだ.

コロナパニックに陥らずに冷静によくよく考えるべきだろう.
一体自分たちが患者に何をしているかということを.

そして自らの保身と事なかれ主義のために,費用対効果の乏しい不必要な制限を繰り出そうとする病院管理者には,はっきりノーを突きつけていくことも考えるべきだ.本当にそのコロナ対策は意味がありますか?


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