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抗原検査キット陽性者の実態

最近はどこも発熱外来がパンクしていて大変ですが,抗原検査キットの配布が始まって低リスク者の一部はこちらに流れてきているようです.特にお盆前後は開業医が休みになることも多いため,外来枠からあぶれた人々がキットに殺到しています.また帰省前に自主的に抗原検査や無料PCRを受けている人も多いのでしょう.

これは少なからず今まで「面倒だから」「コロナうつされたくないので」と検査を受けずに可視化されなかった陽性者のあぶり出しに効いていると思います.その証拠に8月上旬に一旦ピークに達しそうだった感染者数が,また新たな山を描き始めるように増えている都道府県も少なくない.おそらくこれは感染拡大というよりは検査の新規拾い上げによって起こっていると思われます.

今日も行政の手伝いで50人以上の陽性軽症者の届け出を書きましたが,若年感染者の大体の傾向が見えてきました.

・無症状病原体保有はかなり少なくて,ほとんどが何らかの症状がある
・発熱と咽頭痛or咽頭違和感が8割近くとかなり多い.次の多いのが咳.頭痛や関節痛は半分ぐらい.数人に1人は下痢や嘔気がある,味覚嗅覚障害はかなり少ない
・39℃近い熱が3日ほど続くケースも多く,解熱薬を飲んでも37℃台までしか下がらない
・咳が強い人はかなりしんどそう.咳が軽いと声の調子は夏風邪レベル
・ワクチン未接種者はやや重篤な症状が多い(4日以上の高熱等)
・3回接種していても高熱がでる人は出る.割合的には微熱のケースが多い.
・大人の発熱外来より子供の発熱外来が完全にパンクしていて,どこも受診できない難民が多い
・咳以外の症状は1週間経てば収まるケースが多い

そして自主療養制度ですが,8月8~10日前後に検査した人が多いと思いきや,8月3日ぐらいの検査結果も結構申請が回ってきています.おそらく検査はしたんだけど,PCRまで行って確定させるのが面倒だった人が,療養証明書をもらえるということで自主申告制度が本格化した今になって申請しているのだと思います.そういう人の上乗せも感染者数のさらなる増加につながっている印象です.

お盆の後はおそらく若年者の感染は減るのでしょうが,高齢者の感染が増えてくると思います.比較的若年の医療従事者がお盆前の感染で10日間の療養をして欠員する中で,高齢患者の急増に医療が持ちこたえることができるのか,8月後半がコロナ第7波の正念場ではないかと思います.


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