日出づる国へようこそ②〜「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展
こんにちは。
東京都現代美術館で12月21日から開催されている「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展のプレビューに行って参りました。
ずーっと楽しみにしていたので、ディオール からプレビューへのお誘いをいただいた時、電話口で「ギャー嬉しい!!!」と全力で叫んだ。
2014年に銀座で開催された「エスプリ ディオール〜ディオールの世界」以来の大規模展示。(記事「あの北斎ドレスが見られる!〜『エスプリ ディオール〜ディオールの世界』を堪能」)
クリスチャン・ディオール、そしてイヴ・サン=ローランから、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、マリア・グラツィア・キウリまで。歴代のクリエイティブ ディレクターたちの作品が並びます。
1905年1月21日、グランヴィルの名士の家に生まれたクリスチャン・ディオール 。高圧的で実利的な性格の父親と自分が相容れないことを若いうちから感じ、外交官としての道を歩ませようとする父との間には口論が絶えなかったといいます。
父親を喜ばせるためにパリ政治学院(Sciences Po)の入学試験に突破したクリスチャンは、父親に美術ギャラリー開設の資金を求め、経営に乗り出します。
1929年の世界恐慌で全てを失った彼に手を差し伸べたのは、友人のジャン・オゼンヌ。そして1935年、クリスチャンはデザイナーとしての才能を開花させます。
『ハーパーズ バザー』の編集長が絶賛したドレスは「ニュールック」として女性らしさへの回帰を訴え、戦後のファッションに大いなる希望を与えました。
子供の頃から、日出づる国はクリスチャン・ディオールの情熱の対象でした。
クチュリエになったクリスチャンは、日本の女性が「着物を捨て去ることなく、伝統と近代を融合させる術を知っている」ことに感嘆していました。(記事「日出づる国へようこそ〜ディオールが国立新美術館で2015年秋冬リピートショーを開催」)
幼少時代、生家の入り口を飾っていた喜多川歌麿のフレスコ画を眺めて過ごしていたクリスチャン・ディオール。彼は亡くなる2ヶ月前、あるインタビューでこう述べています。
「いつの日か日本に行ってみたいと思っている。僕は昔から日本が大好きだったんだ」
1957年10月24日、心臓発作で倒れた彼の夢が叶うことはなかったけれど、脈々と受け継がれている作品の中から、その想いを感じることが出来ます。
あああ〜マリア・グラツィアのラフィアドレスにガリアーノの鯉!
1954年秋冬の "Rashomon(羅生門)"(黒澤明監督の『羅生門』に影響された)コートなど、"Jardin Japonais" なイメージボード。
"Rashomon"コートに使用されたのは、京都 龍村の織物。
歴代のクリエイティブ ディレクターたちの作品が並ぶセクション。
マリア・グラツィア・キウリ
あの「魔術師」のフェザーエンブロイダリーコート!(記事「タロットの多元的な美しさが表現された Dior Spring 2021 Couture Collection」)
戦後の物資不足の時代に贅沢に生地を使用したコレクションを発表したムッシュ ディオール。ボリュームあるディオールグレーが堪らなく美しかったあのルック。
(記事「ディオールの探検家になりたい〜Christian Dior Fall 2017 Couture Collection」)
ラフ・シモンズ
両国 国技館でのショーでお見かけしたラフ、キラキラしたあのシーズンも素敵でした。(記事「ディオールが両国 国技館で2015年プレフォールコレクションのショウを開催!」)
ジョン・ガリアーノ
ジャンフランコ・フェレ
クリスチャン・ディオール
1951年春夏オートクチュールのアフタヌーンドレス "LASCAUX(ラスコー)"!!!
マリアが再解釈した2018年クルーズコレクションが思い出されます。
圧巻!
「私のドレスは、女性の体の美しさを引き出すための儚い建築なのです」ークリスチャン・ディオール
虹のようにディスプレイされた「コロラマ」セクション。
庭園をイメージしたセクションには、花たちが咲き乱れていました。
「花は、女性の次に神秘的な創造物だ」ークリスチャン・ディオール
ディオールって、贅沢に生地を使用したボリュームが麗しいのよね。
天井から垂れ下がる藤の花は、切り絵アーティスト柴田あゆみが制作。
Tord Boontjeみたい。(生地「トード・ボーンチェ ② ×アレキサンダー・マックイーン」)
旅を愛し、世界各国に自身のブランドを展開した最初のクチュリエであったクリスチャン・ディオール。
中国文化に影響を受けたガリアーノの "Principessa IDANA"
1948年秋冬の"Sahara(サハラ)"デザインに着想を得たマリアの2017年秋冬オートクチュールのコートドレス。
マルク・ボアンのクチュールドレスはとってもアフリカ。
ラテン語の花の学名を覚え、植物の標本を作って少年時代を過ごしたというクリスチャン・ディオール。
会場もコレクションも、いつも花たちで彩られています。
2023年クルーズコレクションのアイコンは、ルールに縛られず、自由に踊ることを通してフラメンコの本質を体現してきたカルメン・アマヤでした。
乗馬なルックも多く見られたコレクション。
スペインの馬といえばアンダルシアンですなー(記事「本を読む ① 〜宮本輝・惣領冬実・鈴木光司・長崎尚志」)
で、シルクタフタを贅沢に使用し、乗馬とスペインを落とし込んだスカートで張り切って出かけた。
草花と旅を愛した彼の美学は、今もたくさんの嬉しいを私たちに運んでくれています。
「私の知っていること、見たり聞いたりするもの、私という存在すべてがドレスに凝縮されているのです」ークリスチャン・ディオール
会期が長いので何度も行けそうで嬉しいね。
この機会に、クリスチャン・ディオールがドレスに込めた美しい世界に浸ってみて下さい。
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展
日程:12月21日〜2023年5月28日
時間:10:00 - 18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(2023年1月2、9日は開館)、および12月28日〜2023年1月1、10日
場所:東京都現代美術館
住所:東京都江東区三好4-1-1
入場料:一般 2000円、大学生・専門学校生・65歳以上 1300円、中学・高校生以下無料(学生証を提示)
*GSIX から展示会場まで無料のシャトルバスが運行しています。
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